[PR]

(6日、南北海道独自大会 札幌第一 10 - 8 立命館慶祥)

 日没コールドゲームが告げられたのは九回表の途中、同点に追いつき、さらに1死満塁で勝ち越しを狙っていたときだった。コールドで九回の得点は幻となり、八回終了時点の2点差でゲームは終了した。部員たちは「なんでだ」と泣き崩れ、なかなか動き出せなかった。

 6日、札幌市の円山球場で行われた夏の南北海道独自大会。立命館慶祥と札幌第一の試合は、八回終了時には8―10で札幌第一がリードしていた。ただ、この時点ですでに午後6時半。曇り空に覆われた球場は薄暗くなっていた。九回表に立命館慶祥が2点を追加し10―10の同点になった。さらに走者満塁とチャンスが続き、ベンチは逆転への期待で大いに盛り上がった。

 だが、暗さが増すグラウンドでは、もうボールが見づらくなっていた。円山球場は照明設備がない。午後6時40分、審判団がグラウンド内に集まり、試合の中断を告げた。立命館慶祥の選手もベンチへ戻った。しばらくして、監督がコールドゲームになったことを選手たちに知らせた。この日の札幌の日没時刻は18時50分。試合終了は18時51分だった。

 立命館慶祥の選手たちは試合後の整列に相手より先に走って向かったが、嗚咽(おえつ)を漏らし、列の中でひざを落とす部員もいた。遅れてベンチから出てきた札幌第一の選手たちは、勝利したのに喜びの感情をあらわにせず、列に淡々と並んだ。

 敗れた立命館慶祥の横山蔵人監督は定年退職を控え、今回が最後の夏だった。試合後、球場の外で選手たちに「こんな終わり方で残念だけれども、ルールはルール。これからも前を見据えてやっていってほしい」と伝えた。監督が話を終えると、そのまま泣き崩れる選手がいた。「負けてない、負けてない」「本当に楽しかった」と、泣きながらお互いに言い聞かせ合う選手もいた。

 その後、見守る大勢の保護者たちの前に整列し、長谷川丈主将(3年)が「悔しさはありますが、本当に仲良しな3年生たちと毎日部活ができて楽しかった。ありがとうございました」と礼を述べた。保護者からはすすり泣く声も聞かれた。ただ、しばらくすると選手たちは、お互いの泣きはらした顔を見て「ぶさいく」と笑い合ったり、「お前最高だったよ」とたたえ合ったり。吹っ切れた様子を見せていた。

 勝利した札幌第一の山田翔太主将(3年)は、試合後「なんとも言えない気持ち。ルールは知っていたが、自分たちがそうなるとは思わなかった。勝った実感がわかなかった。負けたチームの分まで自分たちがしっかりやっていきたい」と語った。

 試合はこの日の第3試合で、15時26分に始まった。前の2試合も熱戦だったため遅めのスタートだった。また、今回の大会では新型コロナウイルスの感染予防として、毎試合後にベンチとスタンドを消毒するため、試合間のインターバルが通常の30分から1時間に増えていた。

 北海道高野連によると、九回に入った時点で球審から「球が見にくい」と指摘があったという。高校野球特別規則では「両チームが完了した最終均等回の総得点でコールドゲームとする」とあるため、直前の八回までのスコアで勝敗が決まった。道高野連の横山泰之専務理事は「けがを防止するための決断でもあった」と述べた。(川村さくら)