拡大する写真・図版新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた救命処置のポイント。倒れた人の胸を押す前に、口と鼻を布などで覆う。その人がマスクをつけているなら、そのまま胸を押す=大阪ライフサポート協会提供

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 突然の心肺停止で倒れた人への市民の救命行為が、新型コロナウイルス感染拡大のせいで大きく減るのではないかと心配されている。心肺蘇生の際に、倒れた患者から感染するリスクが指摘されているためで、欧州では市民による心肺蘇生が減り、院外での死亡率が上がったとの報告もある。より安全な救命行為につなげようと、日本の救急関係者らは対策を急いでいる。

 心肺停止で人が倒れた場合、胸骨圧迫と呼ばれる心臓マッサージと自動体外式除細動器(AED)で心肺蘇生をめざすのが鉄則だ。心臓マッサージは速いテンポで胸を強く押し続ける必要がある。その勢いで、倒れた人の口から微細な飛沫(ひまつ)が出て、救助者に感染する可能性が指摘されている。

拡大する写真・図版新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた救命処置のポイント。救急隊員に引き継いだあとは、手洗いなどを忘れずに=大阪ライフサポート協会提供

 米ワシントン大などのチームはこれまでの研究データをもとに「マスクなどの防護をまったくせずに取り組んだ場合、感染する確率は10%」と推定し、6月に発表(https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.048951別ウインドウで開きます)した。

 コロナの拡大後、市民による心肺蘇生が減った例が海外で発表されている。7月末の米医学誌に掲載された報告(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2010418別ウインドウで開きます)によると、イタリア北部の地域で今年2月21日からの40日間に病院外で心肺停止したケース(前年より58%多い362件)のうち、居合わせた人から心肺蘇生を受けた割合は31%で、前年より16ポイント低かった。救急隊の到着が遅れるなどほかの要因もあるとみられるが、院外で亡くなった割合は82%と、前年より15ポイント高かったという。フランスでも同様の研究結果があり、感染への懸念から市民らが心肺蘇生をためらった面があるのではないかと推定している。

拡大する写真・図版日本AED財団が過去に開催したオンライン講習会の様子=同財団提供

 市民による救命の普及に熱心に取り組んできた愛知県尾張旭市は、感染のリスクを考えて、救命ボランティアにAEDを活用してもらうため導入しているアプリ「AED GO」の運用を4月から中断している。市内では357人がボランティアとして登録し、いざというときはアプリを通して救命現場に駆けつけてもらうことにしていた。

 だが、市民による救命行為は重要だ。感染リスクを下げるため、日本救急医療財団は、胸骨圧迫をする際は「ハンカチやタオルなどがあれば、傷病者の鼻と口にかぶせる」、「救急隊員に引き継いだら速やかにせっけんと流水で手と顔を十分に洗う」などとする指針を作成、厚生労働省のサイトで公表(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000632828.pdf別ウインドウで開きます)した。また、大阪ライフサポート協会や日本AED財団などは10日、指針内容を踏まえたオンラインでの救命講習会を開く。参加者を募集中(https://aed-zaidan.jp/report/20200722.html別ウインドウで開きます)だ。日本蘇生協議会もより安全な救命行為を市民に指導するための手引作りを急いでいる。

 急な心臓病で倒れる人は年間約…

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