[PR]

 新型コロナウイルスへの警戒が続く中、浦添市消防本部が4日、119番通報を受けた患者のコロナ感染を疑い、救急出動が大幅に遅れる事態が発生した。因果関係は不明だが、女性はその後死亡。夏を迎え、発熱などの症状が新型コロナと似ている熱中症による救急要請も増えており、現場での搬送の遅れが致命傷になる危険性もある。専門家は「通報時の容体確認が基本中の基本。その上で感染対策して、いつでも出動できる態勢を取る必要がある」と指摘する。

 「はっきり言うと、怖いと思う瞬間はあります」。ある消防隊員の30代男性は、新型コロナ疑いの患者と接する現場の緊張感を率直に語る。男性が担当する現場では、通報時の聞き取りで患者のコロナ感染が疑われた場合、防護服を着用して出動するが、それ以外は着用しないという。

 「コロナ疑いだと、必ず出動は遅れる」。防護服を着た後に手袋との境目を隊員同士で補助しながらガムテープで巻くなど、感染防止対策を徹底するため3~4分の時間を要する。だからこそ「患者の容体や、症状の因果関係の聞き取りがとても重要」と強調する。

 例えば、夏場に増える熱中症患者は、炎天下にいたのかなど周囲の環境を確認することで予測できる。新型コロナが疑われる場合は、肺炎症状の有無や渡航歴、濃厚接触者の可能性などの状況を聞けば、熱中症と同じ発熱症状があっても区別の判断材料になる。

 万が一を想定し、救急車には常に隊員分の防護服を用意しているが「十分に聞き取りせずに出動し、現場で感染疑いが分かるのはよくない」と声を強める。

 国士舘大学防災・救急救助総合研究所の島崎修次所長は「今の時期に多いのは熱中症の119番通報。発熱や意識レベルの低下はコロナの症状と似ている」と説明した上で「基本的に、重症患者はコロナに関係なく搬送することになっている。(浦添市の消防職員が)患者の症状を確認していないのは大きな落ち度だ」と指摘した。(沖縄タイムス)