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 名古屋市教育委員会が7日、市立中学校で来年度から4年間使う歴史・公民の教科書について、従来通り歴史は教育出版、公民は東京書籍のものを採択した。7月29日の協議で教育委員5人のうち2人が育鵬社版を推し、市民団体が反対の声を上げるなどしていた。

 7日午後3時から市内で開かれた定例会には大勢の傍聴者が訪れた。市教委は通常10席の傍聴席を80席に増やしたが、それでも抽選となった。

 育鵬社版の教科書は歴史認識や憲法観などをめぐって賛否が分かれている。前回の協議で育鵬社版を推した委員2人はこの日、「歴史教科書は近現代史についてしっかりとポイントを押さえていくべきだ」「日本という国に誇りや愛着を持てるような教育をしてほしい」などと述べたうえで、他の3委員の意見に賛同。現在使用している出版社を全会一致で選んだ。

 教科書採択に関する協議を欠かさず見てきたという元教員の男性(67)は「現場の教員は慣れた教科書を使いたいはずで、なぜ育鵬社を推す声があるのか理解できなかった。採択に反対する市民、世論の雰囲気を教育委員が感じ取った結果だと思う。落ち着くところに落ち着き、安堵(あんど)している」と話した。

 文部科学省によると、育鵬社版の2020年度の全国での採択率は歴史6・4%、公民5・8%。現在、育鵬社版を使っている横浜市や東京都(都立中高一貫校)、神奈川県藤沢市、大阪府河内長野市などは、今回の採択で他社版に切り替えた。(花野雄太、角拓哉)