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 コロナ禍で滋賀県内に足止めされていたベトナム人学生2人が、予定より3カ月遅れで10日、帰国する。しかし日本にすっかり慣れた2人は、「帰りたくない」と複雑な心境だ。

 学生は、ホーチミン市のフーテック大学3年ホ・ティ・ミィ・アンさん(21)と、4年グェン・ドァン・クェンさん(22)。

 インターンシップとして栗東市の「ヴァンテック」で学んでいた。同社は遠心分離機による廃水処理業を手がけ、ベトナムで環境ビジネスを計画している。

 井之口哲也取締役(41)によると昨年5月、フーテック大生約20人に面接し、「仕事に対する熱意が伝わった」として2人を採用。昨年11月に来日し、アンさんが環境機器の設計、クェンさんが廃水処理場のメンテナンスを学んだ。

 アンさんは来日当初、ホームシック状態だった。しかし今ではすっかり慣れ、2人とも同社への就職を希望するまでになった。

 研修は5月末までだったが、コロナ禍で帰国できなくなった。2人は同社が借りた栗東市のアパートで同居し、研修を継続した。

 アンさんは「研修が延びたので、最新の3次元コンピューター支援設計の設計手法を取得できた」。クェンさんも「会社やアパートの近所の人に親切にしてもらった」と、むしろ足止めを喜んでいた。

 アンさんの母親は、岩手県陸前高田市の縫製工場で昨年6月から技能実習生をしていた。井之口さんは今年7月中旬、片道900キロ以上を運転し、1年3カ月ぶりの再会を実現させた。アンさんは「母も私も泣きました。母のアパートに1泊できて良かった」。

 今月4日深夜、東京のベトナム大使館から「10日の便で帰国を」とメールで連絡が届いた。そのときは、2人とも「帰りたくない」と涙が出たという。

 ヴァンテックは、ベトナム南部で淡水魚養殖池の水質浄化と汚泥処理の実証実験を6月に予定していた。コロナ禍で延期になったが、井之口さんは「実験が再開されたら2人に活躍してもらいたい」と、採用に前向きだ。(菱山出)

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