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(7日、西東京独自大会決勝 東海大菅生4―3佼成学園)

 「ヒーロー思考だぞ」

 同点で迎えた十回裏1死二塁、サヨナラの好機。東海大菅生の堀町沖永(おきと)(2年)は若林弘泰監督にそう送り出された。ベンチでは3年生が身を乗り出し、声を張り上げている。「まだ3年生と野球がしたい。自分が決めてヒーローになる」と打席に入った。

 この回、先頭の森下晴貴(3年)が四球で出塁し、4番打者の杉崎成(同)が犠打で進めた。「杉崎さんのバントなんて見たことない。これは決めないと」。先輩2人が作った好機に、気持ちが高ぶった。

 3球目の直球を振り抜いた。「詰まったかな」という当たりは、浅めに守る中堅手の頭上を越えた。二塁を回ると、笑顔で自分の元に駆け寄ってくる3年生の姿が目に入った。

 全国から有力選手が集まる東海大菅生で、数少ない同校中等部の軟式出身。入学当時はひじの骨折で出遅れ、ずしりと重い硬式球に戸惑い、不慣れな外野の守備でのミスが重なった。打撃フォームから配球の読みまで、何でも先輩に聞いた。若林監督も「研究熱心で常に前向き」と評価する。

 この日も、三回の好機で併殺に倒れると、すぐにベンチでコーチや先輩にフォームを確認してもらった。「今のスイングで悪くない」。そう言われて吹っ切れ、八回の同点打を含め3安打2打点と勝利に貢献した。

 西大会優勝の先に甲子園はないが、自分のバットが先輩の夏を長くした。次は東西決戦。最後の試合を3年生と一緒に戦い抜く。=ダイワハウス八王子(金子和史)