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(8日、東東京独自大会 帝京3-2関東第一)

 延長十一回。1死二塁で、三回に先制二塁打を放った帝京の4番・加田拓哉(3年)が申告敬遠された。次打者の新垣熙博(3年)は「ここで打たないとだめだ」。138キロの直球を振り抜くと、サヨナラの左越え二塁打になった。

 劣勢の流れを変えたのは、九回だった。前田三夫監督はベンチ前で選手たちを座らせて、その輪に加わった。「形を変えて、目線を変えてみようと」

 監督の気迫に、選手たちも応える。小松が10球目で遊飛に倒れると、加田が粘って四球で出塁。1死一、三塁で武藤が初球でスクイズを決めて同点にした。四~八回まで三者凡退だった打線が奮起し、サヨナラ勝ちのムードを作った。

 夏の全国選手権を2度制した強豪も、ここ5年は東東京で4強止まり。1年夏からベンチ入りする主将の加田は「絶対に自分たちの代で優勝しよう」。何かを変えようと、自主的に動くようにした。毎日ミーティングをして、それぞれの役割と課題を考える。その成果が出て、今大会はここぞの場面で勝負強さを発揮した。

 甲子園がなくなり、一度はチームの士気が下がった。練習試合では前田監督から「引退試合じゃない」と怒られたことも。監督から「加田のチームだ。おまえがしっかりしろ」と言われて目が覚め、「(東の)てっぺんを取って終わろう」とみんなで誓った。

 9年ぶりに東東京の頂点に立った。加田は「あせらず、あきらめずにやっていった。これで終わりじゃない。西東京が待っているんで」。あと一つ。全力で取りに行く。=大田(野田枝里子)