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(8日、群馬独自大会 健大高崎 11 - 9 前橋育英)

 過去4年、群馬の夏は負け知らずの前橋育英に準決勝で立ちはだかったのは、「因縁の相手」だった。

 健大高崎とは2016年から18年まで3年連続で夏の群馬大会決勝で対戦。いずれも甲子園への切符を手にしたのは前橋育英だった。自分の代でも負けられないという思いが須永武志主将(3年)には強くあった。だがその思いは一つのプレーをきっかけに、主砲で捕手の両肩に重くのしかかってきた。

 4点リードの四回、暴投を受け損ねて先頭打者の出塁を許し、歯車が狂い始めた。健大高崎打線は勢いづき、走者一掃の三塁打などを浴びて4失点。流れを断ち切れず、投手陣を支えられない。コールド負け寸前まで点差が開いた。

 五回からのロングリリーフで疲れの見えた相手エース下慎之介(3年)を九回に捉え、須永らの4長短打で4点を返したが、それまでの失点が重すぎた。

 須永は、昨夏も2年生ながら4番打者を担った。主将としてもう一度戻ると誓った甲子園の舞台は、コロナ禍で消えた。悔しさの中で野球を続ける原動力は、仲間の笑顔だった。

 「誰かのために」。大会前、帽子のつばにそう書いていた須永は試合後、おえつを漏らしながら悔いた。「自分のせいで」「申し訳ない」……。

 だがその横で荒井直樹監督は「須永のおかげでチームはここまで成長できた。須永の『せい』なんかじゃない」。そうねぎらった。(松田果穂)