【動画】コロナ禍で2度延びた演奏会成就 京都府立莵道高校吹奏楽部=小西良昭撮影
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの部活動の大会が中止になった。その一つが吹奏楽のコンクール。京都府宇治市の府立莵道(とどう)高校の吹奏楽部は6日、2度の延期をへて、念願の定期演奏会を開いた。3年生にとって最後の発表の場となった。

 6日午後6時、市文化センター大ホールの幕が上がった。莵道高の吹奏楽部の久しぶりの定期演奏会。1~3年生48人が演奏しながら、舞台で躍動するマーチングが始まった。

 観客は事前登録した在校生と保護者、卒業生約300人に限定。座席の間隔を広くとり、検温結果の提出や手指の消毒も徹底して、この日を迎えた。

 シンフォニーから映画やアニメの主題曲まで、3部構成で2時間余り。この日の模試の後に駆けつけて、途中入場した3年生も客席で楽しそうに聴き入った。

 「思い通りに練習できない日もあったが、定演が延びたために全学年一緒に出演でき、不幸中の幸い」

 部長の谷川美里さん(17)はそう話した。

 同校は吹奏楽部を描いた京都アニメーションの作品「響け!ユーフォニアム」のモデルとなった高校の一つ。会場の市文化センターとともに、ファンのあこがれの的だ。作品がきっかけで吹奏楽部に入る生徒もいる。

 そんな同校の定期演奏会は当初、3月に開かれるはずだった。全国で感染者が増えたため、休校となり、5月に延期に。事態は収まらず、再延期となった。

 部活動が再開したのは6月8日。以来、楽器のパートごとに練習。教室の換気や消毒に加えて、距離をあけて合奏するなどの対策を重ね、ようやく演奏会を開けるようになった。

 顧問の神脇健(たけし)教諭(56)によると、莵道の定期演奏会は1、2年生で公演するのが恒例。しかし延期されたことで全学年が出演できる舞台となり、夏の大きな目標となったという。

 演奏会の翌7日。学校の音楽室で、3年生が引退する最後のミーティングがあった。パート別の反省会の後、3年生13人が順にあいさつした。「自分のやりたい楽器でなかったが、大好きになった」「定演で送り出してもらえてうれしい」。感謝と涙があふれた。

 谷川さんも後輩にこう語った。「音楽室にみんながいるだけで頑張れた。一日一日の練習を大切に」

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 高校野球の夏の甲子園大会が開幕するはずだった10日、大会歌「栄冠は君に輝く」をみんなで演奏しようという企画「#みんなで栄冠」(朝日新聞社主催)が実施される。府内からは、莵道高の吹奏楽部などが、この趣旨に賛同し、参加する予定だ。

 顧問の神脇健教諭が野球部の顧問も兼務している縁で、「やってみないか」と吹奏楽部員らに提案し、決まった。8月の定期演奏会に向けた練習が大詰めだったなか、7月30日の昼休みには、部員48人が学校の中庭で演奏。生徒たちが足を止めていた。

 神脇さんは「親しみやすいメロディーと無理のない音域で、いい曲。野球部応援はこの夏できなかったが、いい関係が続いている」と話した。(小西良昭)