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 野球は思うようにいかないことの連続です。ぼくは選手、監督として約60年も付き合ってきましたが、教科書通りに進まないことばかりでした。だから、好打者でも打率3割しか打てないし、強いチームが負けることだってある。

 君らも野球を好きになればなるほど、その難しさを知り、負けてなるもんかと練習してきたと思います。3年生なら入学してから2年半、そんな毎日を送ってきたことでしょう。

 新型コロナウイルスによる異常事態は、誰も想像することができなかった。それでも君らは下を向かず、思うようにいかない事態に立ち向かってきた。仲間や監督と連絡を取り合い、自分が今できることに取り組んだ。練習再開後は、それまでの時間を取り戻すかのように、必死で白球を追いかけてきた。

 野球で培った精神力、応用力、団結力を生かしてくれたんだと思います。

 そんな君たちのため、全国で独自大会が開催され、甲子園交流試合も用意されました。まずは関係者に感謝しなければいけない。そして、支えてくれた仲間や家族、指導者に精いっぱいプレーすることを誓おう。

 多少の練習不足は、しょうがない。この難局を乗り越えてきたように、強い気持ちでカバーして欲しい。

 思い出づくりにして欲しくはない。それでは、甲子園に失礼になる。ここでプレーするからには、勝利を目指して、精いっぱい戦ってもらいたい。甲子園を目指すことができなかった全国の球児たちの分も、張り切って野球をして下さい。

 そこから、また何かを学べるはずだし、見ている人が何かを感じてくれるはずです。それが高校野球、それが甲子園です。