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(10日、甲子園交流試合 明徳義塾6-5鳥取城北)

 第1日から、この熱戦。これは特別な大会やないですよ。いつもの夏の甲子園と一緒です。明徳義塾も鳥取城北も、「勝とう」「勝とう」の思いだけ。素晴らしい試合でした。

 八回にまず鳥取城北が集中打で一挙4点をとって逆転しました。直前の守りから登板した阪上君が、明徳を三者凡退に抑えた。気迫のピッチングが攻撃にもつながりました。明徳の新地君もいいリズムで投げていました。少しだけ球が高くなったところを、城北打線が見事にとらえました。

 劣勢になったここからが明徳の真骨頂です。仲間に勇気を与えたのが鈴木主将の走塁です。八回1死一、二塁から、左飛で二塁から三塁へタッチアップしました。慌てた相手のミスもあり、一気に生還。さらに続く米崎君の適時打で1点差に詰め寄りました。

 1点差となれば、何が起こってもおかしくありません。明徳は九回裏、2死一、二塁から4番新沢君がライトオーバーの逆転サヨナラ三塁打。右翼から左翼へ吹く強い浜風なんて関係ない。完璧な当たりでした。「野球は2死から」と言いますが、土壇場で最高の打撃ができるのも明徳のすごさでしょう。

 馬淵監督はいつも「耐えて勝つ」と言っていますが、その信条通りの勝利でした。

 テレビ解説をしながら、なんや涙が出てきました。これが高校野球、これが甲子園です。今年の夏も、球児がここで試合をさせてもらえて本当によかった。テレビやラジオで観戦された全国のみなさんも、同じような思いやったんじゃないでしょうか。まるで夏の甲子園決勝のような熱戦でした。(智弁和歌山・前監督)