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 岩手県一関市の千葉胤雄(たねお)さん(85)は、新型コロナウイルスの感染防止を呼びかける市の防災行政無線を聞くたび、あの頃を思い出す。

 カンカンカン。

 戦時中、市内の山間の集落では、火の見やぐらの半鐘が警戒警報の合図だった。電球の笠に風呂敷をかけ、集落は真っ暗になった。消防組織が改組された警防団が見回り、光が外に漏れていると、「敵機の目標になるぞ」と怒った。

 実際には、空襲が頻繁にあったわけではない。でもため池で泳いでいたら、低空を敵機が飛び去った。自転車の人が撃たれたこともあった。

 母は、煎った大豆を袋に入れ、袖につけて言った。

 「空襲で離ればなれになったら、一粒ずつ食べるんだよ」。戦争はいやだな。その時、そう思った。

 昔もいまも、自分にできることは限られている。結局のところ、言われたとおりにして、周囲に迷惑をかけないよう、息を潜めているしかないのか。

未知の感染症におびやかされ、窮屈な暮らしが続く今年の夏。75年前、今よりはるかに苛烈(かれつ)な夏があった。「あの夏」を知る人たちは、この夏をどんな思いで見つめるのか。記者がたずねた。

 「嫌な時代だな」。ひとりつぶ…

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