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(11日、甲子園交流試合 広島新庄4-2天理)

天理(奈良)・山田孝徳捕手

 二つの夢がある。一個目は、この日の最終回にかなった。

 九回、代打で打席に立った。2球目を思い切り振ったが、直球に差し込まれて中飛に。「甲子園は立つだけですごかった。広かったです」。新チームでは、最初で最後の公式戦の出番となった。

 3年生だけで臨んだ奈良独自大会は、自分以外の24人が出場して優勝した。控え捕手の自分は、中村良二監督から「万が一を考えて、一番最後しか使えない」と言われていた。頭では理解してもへこんだ。和歌山の実家から寮に来てくれた母に「あとはやりきるしかないよ」と諭された。

 「自分の仕事がある。プライドをもってやろう」と前を向いた。この日も投手の緊張をほぐそうと、ブルペンで「ナイスボール」の声かけをいつもより多めに。いい音が鳴るよう、毎日手入れをしたミットは「バチン!」と乾いた音を響かせた。

 もう一つの夢は、ここからが本番だ。国公立大に進んで野球を続けたい――。甲子園常連の強豪校で、勉強との両立に努めてきた。

 午後8時ごろに全体練習が終わると、寮でも自主練習。消灯後の午後11時から約2時間、真っ暗な部屋で机の電気スタンドの光を頼りに問題集を解いた。睡眠時間は5時間ほどで「眠い時もある。でも今やらな後悔する」。夕方で練習が終わる日は、休んだり自由に過ごしたりする仲間をよそに猛勉強した。

 「悔いなくできました。(受験勉強に)切り替えられそう」。大学野球の聖地・神宮をめざす第2章が始まる。(大坂尚子)