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 58校が参加した「夏季県高校野球大会」(県高野連主催、朝日新聞社など後援)は、倉敷商の優勝で幕を閉じた。コロナ禍で甲子園への道を閉ざされた3年生の「集大成の場」として開かれた大会。感染防止策を徹底する異例の夏に、選手たちは例年通り、1球にかけた熱戦を繰り広げた。

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 県高野連の独自大会への動き出しは早かった。甲子園と岡山大会の中止が発表された翌日の5月21日、理事会を開き、開催に向けた方針を確認。大会を「3年生の集大成の場」と位置づけ、今年ならではの様々なルールを打ち出した。

 参加は、活動自粛のブランクを考慮し辞退した岡山白陵を除く58校。感染防止策では、試合が終わるごとにベンチを消毒し、観戦は控え部員や保護者らに限定。メガホンの応援やブラスバンドの演奏もない球場に、グラウンドの選手たちの元気な声が響き渡った。

 「集大成の場」が反映されたものも多かった。今年はもともと選手登録を2人増やして20人にする予定だったが、登録上限は50人、ベンチ入りは25人まで容認。さらに試合ごとのベンチ入りメンバーの入れ替えも認めた。玉野光南のように3年生だけで挑む学校がある一方、岡山学芸館は例年通り学年を問わずメンバーを選ぶなど、大会への臨み方が分かれた。

 大会では選手層の厚い私学が勝ち上がる一方、岡山東商や玉島商など公立の実力校も8強入り。いずれも準々決勝で敗れたが、岡山東商の村上陸君(3年)や、玉島商・平田楽君(3年)ら左腕の好投手の活躍も際だった。昨秋の県大会で成績が残せずノーシードとなった岡山学芸館や岡山理大付は、本来の実力を発揮した。

 ただ活動自粛が長引き、実戦不足の影響からか、普段なら出ないようなミスも目立った。

 そんな中、決勝に進んだのはミスがわずかしかない倉敷商と創志学園。倉敷商は、1点が届かず決勝で敗れた昨夏の悔しさを知る3年生がチームを引っ張り、「負けない野球」を徹底した。15日に甲子園である招待試合も含め、この夏は後輩たちの大きな財産となるだろう。

 「仲間とともに野球ができること、本当に幸せです」。倉敷商・原田将多主将(3年)の宣誓には、練習できない期間を過ごした3年生の苦悩が深くにじんだ。甲子園につながらなくても、真剣勝負に挑み、涙する球児たちの姿が印象的だった。(中村建太)