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(高校野球人物館)福井・敦賀気比3年、笠島尚樹

 1年夏から甲子園のマウンドを踏んだ右腕が「転機だった」と振り返る試合がある。

 昨夏の甲子園の1回戦、富島(宮崎)戦。一回に自己最速となる144キロを計測した。投げ方を変えるなど、特別な試みがあったわけではない。「それが甲子園という場所じゃないですか」と笑う。

 中学時代は最速125キロ程度。だが、高校入学後、柔らかい肩甲骨を生かしたフォームが東哲平監督の目にとまった。「ほかの投手にはないひじの使い方だった。鍛えれば、チームを背負える投手になれる」と1年春から起用。現在は最速145キロまで伸びた。

 低めに糸を引くような直球も威力抜群だが「3ボールでもコーナーを狙う」という制球力も光る。加えて、東監督から愛情を込めて「宇宙人」と揶揄(やゆ)されるメンタルも魅力。ピンチの場面も「だから何やねん、抑えればいいんやろと思っています」と言い切る強心臓の持ち主だ。

 好きな言葉がある。「花よ咲け。何も咲かないそんな日は、下へ下へと根を伸ばせ」。3年連続の甲子園はかなわなかったが、福井の独自大会で優勝し、力を示した。プロ入りを目標に掲げ、漠然と過ごす日は一日もない。(河野光汰)