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 香港警察は香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕した香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏や民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏ら10人を、12日未明までに保釈した。ただ、香港では容疑者を逮捕後に保釈するのが一般的で、当局は関係者の起訴に向け捜査を継続するとみられる。

 11日深夜に保釈された周氏は報道陣に対し、パスポートを押収され、所在確認のため9月1日に再び警察に出頭するよう命じられたことを明らかにした。疲れた表情で「取り調べが非常に怖かった」と漏らし、拘束中は、日本のアイドルグループ欅坂46のヒット曲で、自分の信念を貫いて抵抗する意志を歌い上げた「不協和音」の歌詞が頭の中に浮かんだと話した。

 香港では殺人など一部の犯罪を除き、逮捕から48時間以内に容疑者を保釈することが多く、移動などの自由を制約した上で捜査が続けられる。ただ、国安法には保釈を制限できる規定があるため、黎氏や周氏らの拘束が長期化する懸念もでていた。

 周氏は記者団に、警察から罪状を示す証拠の提示がなく「なぜ逮捕されたのか分からない」と話した。

 ただ、中国寄りの複数の香港メディアは、中国・香港両政府を追い込むため香港への制裁を発動するよう外国政府に働きかけた組織に、黎氏側が100万香港ドル(約1400万円)超を提供した疑いがあると報道。周氏もこの組織と関係があると伝えた。香港警察はこうした動きについて、国安法が禁じる「外国勢力と結託し国家の安全に危害を加える行為」に当たるとみている可能性もある。(香港=益満雄一郎)