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 東北6県の頂点を決める東北地区高校野球大会は4日目の12日、宮城県石巻市の石巻市民球場で決勝があった。福島県の独自大会をノーシードから勝ち上がってきた聖光学院が、宮城県代表の仙台育英を投打で圧倒し、8―0で優勝した。コロナ禍で甲子園の道は断たれたが、福島県の夏の大会「14連覇」の実力を存分に発揮した。

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 秋に「最弱」として始まったチームが、夏の東北大会の頂点に立った。最後の打者を併殺に打ち取った瞬間、マウンド上のエース舘池亮佑君(3年)を中心に歓喜の輪ができた。

 だが、ここまでの道のりは、チームも舘池君自身も決して平坦(へいたん)ではなかった。

 東京出身。小2から野球を始め、甲子園を目指して聖光学院を選んだが、入学後は投手としての可能性に悩んだ。同学年には最速144キロの小松優都君ら、実力のある投手がいた。

 そんな中、2年の春が転機になった。横山博英部長に「投げ方を変えてみろ」と助言を受け、横手投げに変えた。長身を生かし、打者の手元で浮き上がる直球が武器になった。

 だが、昨年の6月ごろには右ひじを疲労骨折。完治するも、昨秋はベンチ外だった。チームも秋の県大会初戦でコールド負け。「今は自分にもチームにも力がない」。その自覚が練習に打ち込ませた。冬に下半身の軸を作ることに注力した結果、投球が安定した。

 独自大会では、初戦で日大東北、決勝では光南を完封し、「夏14連覇」の立役者になった。

 この日は昨秋の東北王者・仙台育英との決勝。初回、先頭から2連打を浴び、次打者もボールが先行したが、焦りはなかった。「本塁を踏ませなきゃ1点じゃない」。そこから2連続三振を奪うと、一気にギアが上がり、5安打完封と圧巻の投球を見せた。

 試合後、斎藤智也監督は「舘池ら選手が成長し、夏にここまでになった。大きな歴史を刻んだチームだ」。そして舘池君もこう言った。「兵庫県の甲子園には行けなかったけれど、僕らの心の甲子園は最高の形で終われた」(飯島啓史)