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 サウジアラビアの情報機関の元高官でカナダに亡命しているサアド・ジャブリ氏は6日、サウジのムハンマド皇太子が自分の暗殺を計画したとして、米ワシントンの裁判所に訴えを起こした。トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館でサウジ人記者カショギ氏が殺害された事件の直後の2018年10月、「暗殺集団」がカナダに派遣されたが、カナダの入管当局者が入国を認めなかった、としている。

 ジャブリ氏はムハンマド・ビン・ナエフ前皇太子の側近だったが、ナエフ氏が17年6月に解任され、ムハンマド皇太子が就任すると、トルコ経由でカナダに亡命した。

 訴状などによると、ムハンマド皇太子はジャブリ氏に再三、帰国を要請。対話型アプリ・ワッツアップで「あらゆる手段を使う」「あなたに害を及ぼす手段をとる」などと脅した、としている。また、ジャブリ氏を殺害する目的の集団がカナダに派遣され、観光ビザで入国を試みたものの、入国できずに終わったと主張している。ナエフ氏については、米メディアが今年3月に拘束されたと報じていた。

 カナダのビル・ブレアー公共安全相は、特定の事案へのコメントは避けるとしたうえで、「外国勢力がカナダ人やカナダに暮らす人を監視したり、脅したりしようとした件は把握している」とコメント。「外国勢力がカナダの市民・住民の安全を脅かすことは許容できない」と述べた。

 ムハンマド皇太子はカショギ氏の殺害への関与を強く否定するが、国際社会の疑念は消えていない。米メディアによると、サウジ政府は今回の提訴についてコメントしていない。(ワシントン=渡辺丘)