拡大する写真・図版NHK紅白歌合戦で「不協和音」のパフォーマンスを終え、倒れ込む欅坂46(当時)の平手友梨奈さん(中央下)=2017年12月、林敏行撮影

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 「拘束されているときに『不協和音』の歌詞がずっと頭の中で浮かんでいました」――。香港の民主活動家で、香港国家安全維持法違反の疑いで逮捕された周庭(アグネス・チョウ)氏が保釈後に発した一言をきっかけに、「最後の最後まで抵抗し続ける」と歌うアイドルグループ欅坂46の代表曲に注目が集まっている。今回の発言が持つ意味についてや、不動のセンター・平手友梨奈さんの脱退を経験した欅坂46が改名して新たな道を進む決断をしたタイミングと重なったことへの考察、欅坂46に対する熱い思いを、アイドル評論家の中森明夫さんに語ってもらった。

秋元さん作詞ゆえに日本では…

 「不協和音」は、アイドルの曲という枠のなかだけでなく、おそらくここ数年で日本語で書かれた最も強いメッセージソングじゃないかと思うんです。紅白歌合戦でパフォーマンスして、(センターの)平手友梨奈さん以下何人かが倒れた。歌詞もさることながら、パフォーマンスが強烈で過酷で、過呼吸に陥ったという曲で、紅白での騒ぎもあって欅坂の一つの時代を作った曲だと思います。

 僕は今年還暦で、1960年代生まれ。昭和の時代、僕らが10代、20代の頃にフォークソングがはやった。それがいわゆる(権力や社会の不正への抗議や抵抗を歌う)プロテストソングですよね。「不協和音」の歌詞を書いた(おニャン子クラブやAKB48などの数々のアイドルグループを手がけてきた作詞家の)秋元康さんも同世代なので、おそらくそういう曲を聞いて育ったと思うんです。当時のフォークソング、反体制ソング、メッセージソング、海外で言えばノーベル賞をとったボブ・ディランみたいな人とか、日本でも岡林信康さんとか吉田拓郎さんなんかもそうなのかな。それがだんだんニューミュージック(70年代に生まれた日本の新たなポップス)っていうことになって、今のメジャーな音楽はほとんどJ-POPですよね。

 J-POPの中にもメッセージ性のあるものはあるとは思うんですけど、「不協和音」ほど直接的なメッセージ性を書いた歌詞は無いと思っています。「僕はYesと言わない」と、周りに対する抵抗と自由を歌う。これは日本で秋元さんがアイドルの歌詞として書いたものなので、若い世代はどうか分からないですけど、おそらく一定の年齢以上のアイドルファンたちは、この歌詞をなかなかまともには受け止められないと思います。特に秋元さんを批判している人たちにとってみれば、「それを秋元康が言わせているじゃないか」「大人なんか信じるなって言って、大人に言わされているじゃないか」と。そういう二重性、三重性で捉えられているのです。

拡大する写真・図版日本記者クラブで会見する周庭氏=2019年6月、東京都、高田正幸撮影

 秋元康さんという人は、どちらかと言えばメディアの文脈的には体制側に属する、よく批判の対象になるような人です。それでもやっぱり、周庭さんっていう人にとっては、この曲のメッセージが響いているっていうことは考えなきゃいけない。香港という特別な場所で、とんでもないことが起こり、そのシンボリックな存在の人が逮捕・拘束された後に出てきて、日本に対して呼びかけた日本語のメッセージがアイドルの歌詞についてだった。しかもそれが「不協和音」だったっていうのは、僕にとって強いインパクトがありました。

香港警察に逮捕された周庭氏が頭の中で思い浮かべたという、欅坂46の「不協和音」。この楽曲が注目を集めるのには、いまの香港が置かれた状況や、世界的なコロナ禍が影響しているのではないか、と中森さんは指摘します。記事の後半で詳しく考察します。

■周庭さんが受け止めた歌本…

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