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 新たな金融庁長官に就任した氷見野良三氏が朝日新聞のインタビューに応じ、低収益に苦しむ地方銀行について、「(すべての地銀に)共通の説教を繰り返せばいいという『金融説教庁』時代は終わったのではないか」と述べた。遠藤俊英・前長官が取り組んだ画一的な指導の見直しをさらに進め、対話を通じて経営再建を促す考えを示した。

 新型コロナウイルスの感染拡大前から課題の地銀の経営改革について「(遠藤)前長官の路線を引き継ぐ」としつつ、「地域経済の状況や財務状況、歴史伝統がそれぞれ異なり、一つの答えはない」と指摘。「(地銀の)実態把握と個別の対話を重視し、そのうえで金融機関の選択を促していく」と述べた。「制約はできるだけ取り払うよう努めて、金融機関がとれる選択肢を広げていく」と語った。経営統合や公的資金注入を進めやすい法整備などに触れ、今後も業務規制の緩和などに取り組むという。

 金融庁は「顧客本位」の営業を求めてきたが、ノルマを課すなど無理な販売を続ける金融機関もある。こうした実情について、「金融庁の歴史はこの問題との格闘の歴史」と言及。「(金融庁発足から)20年やってきたが、本来我々がめざす所から依然距離がある」と述べた。「金融庁が説教してグッと押していっても、いたちごっこが続くのではないか」と指摘。顧客本位と金融機関の収益向上が結びつくビジネスモデルを根付かせるため、行政手法も見直す考えを示した。「顧客がどういうサービスを求めているかを徹底して考え、利益を得る」姿を探っていくという。(柴田秀並)