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 甲府市の山梨平和ミュージアムが、4冊目となる市民の戦争体験記「戦時下・戦後を生きてⅡ 戦後七五年にあたって」を今月出版した。5年に1度まとめてきたが、戦後75年の今回は元兵士の手記が激減。戦中の記憶を残す難しさに改めて直面したという。

 戦争体験記は戦後60年の2005年、前身団体が山梨県内外から原稿を募集し、1冊目を出版した。5年ごとに新たな体験記がまとめられ、4冊で計約160人分を収録したことになる。

 今回は1月に募集。45人から原稿が寄せられ、うち42人分を掲載した。最高齢は96歳で、90代は8人いた。80代が20人と最も多く、戦後生まれの60代は4人だった。

 初期に出版した際は、戦地での過酷な記憶を記した文章が多かった。しかし、今回、手記を寄せた元兵士はわずか2人。うち1人は内地で終戦を迎えており、外地での経験をつづったのは1人だけだった。

 「空襲体験を記す人は多いが、戦場や軍隊の実相を語れる人たちがいなくなった」。ミュージアムの浅川保理事長(74)はそう指摘し、「5年後は戦中の体験記が集まらず、タイトルの『戦時下』は削除することになるかもしれない」と話す。

 ただ、戦後生まれの筆者による新たな伝承の可能性も感じるという。親の体験を聞き、回想記を読み、戦後の歩みについて語る人たちもいるからだ。

 「戦争について向き合うことは、今の社会や政治にもつながってくる。これからは、間接的な経験による伝え方、個々の体験だけでない全体の検証や教訓の伝え方も問われる」(永沼仁)

「人間の闇の部分を増幅」

 唯一、外地での体験を記した山梨県笛吹市の大西竹二さん(96)は戦後、外蒙古(モンゴル)で2年半、抑留生活を送った。その記憶を「戦争は人間を狂気に」というタイトルで手記にした。

 満足な食事が取れず、24時間…

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