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(15日、甲子園独自大会 履正社10-1星稜)

 最初で最後の甲子園は、ほろ苦い結果となった。履正社で8番・一塁手として先発した島野圭太(3年)は「やばいっす……」。2打席連続三振で途中交代という結果を、苦笑いで振り返った。

 3人きょうだいの真ん中でもがいてきた。

 兄の凌多さんは大阪桐蔭で甲子園に出場し、現在は龍谷大の野球部で主将。一つ下の妹、愛友利さんは中学時代、大阪・大淀ボーイズで男子に競り勝ち、エースとなって全国大会で優勝。テレビやSNSで大きな話題となった。現在も神戸弘陵高の女子硬式野球部で投手として活躍している。

 「島野圭太」ではなく、「島野愛友利の兄」。そして大学で活躍する憧れの兄に挟まれ、「自分も負けられない。頑張らないといけない」とやってきた。

 だが、履正社はレベルが高く、ベンチに入るのも簡単ではない。しかも、今の3年生はこれまでで最多の30人もいる世代。遊撃手で入学したがスローイングに悩み、一塁手にコンバートされた。昨秋、ようやくつかみ取ったベンチ入り、レギュラー、そして春の選抜だったのに新型コロナウイルスで中止になった。

 母の英佳さんは「ようやく圭太も全国の舞台に立てるはずやったのに……」と思いやったが、次男は強かった。5月20日、夏の甲子園の中止が決まった日も、バッティングセンターで黙々と打ち込んでいた。

 緊急事態宣言で学校のグラウンドでの練習ができなかった時期は、3きょうだいで自宅近くの公園でキャッチボールやノック。島野家にとっての「原点」を思い出し、再び前へ進む活力となった。

 この日、兄は大学の練習があって観戦に来られなかったが、愛友利さんはみに来ていた。身近な「ライバル」に活躍を見せつけたかったが、夏前から調子を落としていた打撃は、この日もうまくいかなかった。

 ただ、まだ野球は終わりではない。「大学ではまたショートに挑戦して、もっと上のレベルでも野球をやりたい」。1試合だけのほろ苦い甲子園も糧に、「島野圭太」の人生を切り開いていく。(山口史朗

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 昨夏の甲子園で「胴上げ投手」となった履正社の岩崎が散発6安打、1失点で完投した。この夏から、走者がいない時も振りかぶらずに投げるノーワインドアップを織り交ぜ、単調にならないように工夫。完投できる体力作りにも励み、成果を存分に発揮した。「野球ができることがうれしかった」と、甲子園のマウンドを堪能した。

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 攻守に活躍したのは履正社の主将で捕手の関本。「初球から狙っていた」と二回の適時打を含む2安打1打点。守備でも3度、二盗を阻止し、岩崎の完投勝利をアシストした。父は阪神で活躍した関本賢太郎氏。星稜の好捕手・内山を意識していたといい、「(盗塁は)全部刺すつもりだった。最後まで全力プレーで貫けた」と満足げだった。