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 2014年8月の広島土砂災害では、77人が犠牲になった。その中に、3歳の男児を救おうとして土砂崩れに遭い、男児とともに命を落とした消防士がいる。父を失った息子は警察官として、「信念を継ぐ」と誓う。

 6年前の8月20日午前4時ごろ、広島市消防局安佐警防隊副隊長だった政岡則義さん(当時53)は、安佐北区の災害現場へ4人で出動。午前5時ごろ、裏山が崩れた民家で男の子を救助しようとして、土砂崩れに巻き込まれた。

 息子の敬志さん(36)は広島県警の警察官で、当時は交番勤務だった。その日の朝、現場への応援要請を受けて広島中央署へ行くと、上司から告げられた。「お父さんが亡くなった。すぐに実家に帰りなさい」

 頭が真っ白になった。近くの小学校に避難していた家族とともに急いで病院へ。そこに横たわっていたのは、踏ん張るようにひざをくの字に曲げたままの無言の父だった。「これまでは無事に帰ってきてくれていたのに……」

 消防隊員から当時の様子を聞いた。4人で出動したが、則義さんはほかの3人を後方支援に回らせ、1人で現場へ入った。幼い男の子を救助しようと、抱きかかえたまま息絶えていたという。「最後の最後まで目の前の命を救おうとしていたんだな」。父らしい最期だと思った。

 父は、「理想のヒーロー」だっ…

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