聞き手・篠塚健一
自宅で楽しめるDVDやCDなどを紹介する「私の逸点」。今回は落語作家のくまざわあかねさんが、大好きな松竹新喜劇シリーズから「人生双六」について語ります。
いま、つらい状況にいる人に優しい芝居。頑張っている人にも、人とのつながり方を教えられる。DVDで見られる松竹新喜劇の「人生双六(すごろく)」はそんな作品です。
人生のドン底で宇田信吉(藤山寛美)と浜本啓一(高田次郎)が出会い、5年後に再会を約束する。それから人生のサイコロの目がどんどん出た浜本と、出なかった宇田。浜本はすごく会いたい。宇田は会えないと思う。でも、浜本の勤め先の社長の妻(酒井光子)が、自分の立場を明かさずに会わせてくれる。
人の気持ちがプラスとプラスでつながる。そして、会えて良かっただけでなく、2人はまた5年後に会う約束をする。次への希望とともに終わり、あったかい気持ちになれます。
筋はシリアスなところも多いけど、寛美先生はコミカル。雪で足を滑らせるという、登場の足取りだけで笑えます。セリフで笑わせたり泣かせたりできるのに、動きも面白くてしかもきれい。酒井さんもすごい芝居をしている。義理の息子でもある浜本を宇田に会わせてやりたい。でも、宇田のプライドも傷つけへん。お金をあげて会えるようにしたのに、浜本の家で顔を合わせたら「恥ずかしい思いをさせてしまいましたねえ。すみません」。このセリフが優しいんです。
屈指の名作で、自殺防止にもつ…
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