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 JR北海道が廃止・バス転換をめざす線区をめぐり、留萌線(深川―留萌、50・1キロ)の沿線4市町が、一部区間の廃止で合意した。日高線の鵡川―様似間(116キロ)も3月末で廃止の見通し。新型コロナウイルスの影響でJR北の業績は急速に悪化しており、それぞれの沿線自治体との協議を急ぐ。(長崎潤一郎、本田大次郎、戸田拓、西川祥一)

 留萌線の沿線の深川市、秩父別町、沼田町、留萌市が、一部区間の廃止を受け入れることに18日合意した。JR北の島田修社長は19日の会見で、自治体間の協議の進展を歓迎しつつ、「私どもは一貫して全線のバス転換が最適な公共交通の姿だと思っている」と述べ、引き続き全区間の廃止に向けて協議する考えを示した。

 留萌市で18日開かれた会議では、留萌市と沼田町を結ぶ区間の廃止を受け入れる一方で、沼田町から深川市までの残りの区間は存続を求める方針を確認した。9月にもJR側と協議する場をもうけるという。

 留萌市の中西俊司市長は朝日新聞の取材に「停滞していたJRとの協議がこれで進む。留萌市としては市民の足を守るため、バス転換に向け、協議していきたい」と述べた。一方、深川市の担当者は「留萌線は通学や通院に欠かせない存在。バスに転換した場合、運行の時間帯や料金がどうなるかが問題だ」としている。

 留萌線はJR北がバス転換を求めた5線区の一つ。19年度は3800万円の収入に対し、6億9900万円の経費がかかっており、営業赤字は約6・6億円にのぼる。留萌市は早くから存続は困難とみて、JR北から単独でバス転換時の条件を聞くなどしてきたが、沿線自治体の合意形成が進まず、会議は昨年6月末からストップしていた。

 JR北の島田社長は「協議の場が開かれたことは大きな前進だ。最適な公共交通はどうあるべきか。議論が前に進めばいいと思う」と話した。

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 2015年1月の暴風雪の高波被害で不通が続いているJR日高線の鵡川―様似間(116キロ)が、来年3月で廃止される方向となった。今月12日に新ひだか町で開かれた沿線7町の臨時町長会議で、来春から代替バスを運行する方針を確認した。9月にもJR北海道と合意する見通しだ。

 日高、平取、新冠、新ひだか、浦河、様似、えりもの7町は昨年11月、廃止を事実上受け入れた。ただ、18年間分のバスの運行費や、駅周辺の整備などの地域振興費としてJRが示した総額25億円の支援金をめぐり、調整が難航していた。今後、9月の正式合意に向け、支援金の妥当性を詳しく検証するという。

 浦河町の池田拓町長は「災害復旧が原則。それがなくては、廃止はあしき前例となる」などと主張していた。JR北の島田修社長は19日の会見で「バス転換に向けた実務協議が加速するよう誠心誠意のぞんでいく」と述べた。

 この区間は2015年1月から不通が続いており、現在もバスが代行運転している。日高線の苫小牧―鵡川間(30・5キロ)は沿線自治体の支援を得て存続する方針だ。

 深刻な経営難に陥っているJR北は16年11月、営業路線の約半分にあたる10路線13線区を「単独では維持困難」と表明し、このうち5線区を廃止・バス転換する方針を決めた。すでに石勝線夕張支線(新夕張―夕張)、札沼線の北海道医療大学―新十津川間は沿線自治体の合意を得て廃止された。日高線の鵡川―様似間の廃止が正式に決まれば、3例目となる。

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 JR北海道が19日発表した2020年4~6月期決算は、売上高が前年同期比48・6%減の207億円、営業損益は239億円の赤字(前年同期は91億円の赤字)、純損益は126億円の赤字(同10億円の赤字)だった。売上高、赤字額ともに過去最悪。新型コロナウイルスの影響で鉄道のほか、ホテルや不動産事業の収入が大きく落ち込んだ。

 島田修社長は会見で「かつて経験したことがない、大変厳しい決算だ」と述べた。当面の運転資金のため、固定資産税や社会保険料の支払い猶予(70億円)、安全に直接関係ない設備投資の延期(20億円)、これまで実施した減便を含むコスト削減(10億円)で100億円を捻出するという。これとは別に金融機関から融資枠650億円を確保しており、当面の資金繰りは問題ないとしている。

 新型コロナによる減収額は212億円にのぼる。本業の鉄道運輸収入は前年同期より115億円少ない57億円だった。主なグループ企業の減収額は、JRタワーを運営する札幌駅総合開発が27億円、北海道キヨスクが24億円、JR北海道ホテルズが18億円など。

 島田社長は「コスト削減策に加え、鉄道利用の早期回復による減収規模の縮減が何より重要だ」と述べた。ただ、この日発表した7月の収入状況でも、運輸収入(速報値)は前年同期比47・6%減の約33億だった。8月も同様の傾向が続いており、通期の業績予想の開示は「合理的な算定が困難」として見送った。(長崎潤一郎)