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 国民に一律10万円を配る特別定額給付金事業で、オンライン申請のためのシステムを準備する時間が足りず、十分なテストができないまま受け付けを始めていたことが政府関係者の話でわかった。オンライン申請は開始直後から世帯情報などの入力誤りや重複申請が多発し、給付を担当する市区町村が確認や補正作業に追われるなどして混乱。都市部を中心に給付が大幅に遅れる原因になった。

 オンライン申請は、マイナンバーカードを持っている世帯主が、内閣府が運営する専用サイト「マイナポータル」内にある給付金用の申請ページに必要事項を入力し、住んでいる自治体に世帯ごとに申し込む。

 政府が新型コロナウイルスの経済対策に盛り込んだ給付金事業は、当初「減収世帯に30万円」とされていた給付方針が、与党の反発で「全国民に一律10万円」に変更されるなど国会審議直前まで定まらなかった一方、申請開始は予算成立の翌日、5月1日とされた。

 担当した官僚の一人は「給付方針が定まらなかったことで、約1カ月あったはずのシステムの開発期間が10日間になった。本番稼働の予行演習をする時間がなく、システムトラブルにつながる最低限の欠陥の確認をしただけで、あとは実際に動かしながら不具合を修正していくしかなかった」と話す。

 入力の誤りや漏れ、重複申請などの不備は、自治体が住民基本台帳と照合して初めてわかる状態で、内閣府は自治体などの指摘を受けて、6月15日までに51カ所を改修した。

 オンライン申請は、全国の市区町村の98%にあたる約1700の自治体で実施したが、こうした確認作業の業務負担や郵送申請との二重払いの可能性を理由に、7月30日までに111自治体が中止・停止した。