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 この夏、衝撃を受けた本がある。「永田キング」(鳥影社)だ。昭和のはじめに、妹とコンビを組んだ京都出身の芸人。しゃべくり漫才のエンタツ・アチャコと同じ時期に、スポーツ漫才で鳴らした。映画にも出演したが、ほとんど忘れ去られていた謎の芸人像に、87歳のテレビ・ラジオプロデューサー澤田隆治(たかはる)が光を当てた画期的な著作だ。

 朝日放送の若手社員だった澤田は、昭和30年代に生の舞台を目の当たりにして驚いた。野球の動きをスローモーションで演じているのだ。テレビ中継でもそんな技術はまだ普及していなかったという。この記憶を原点に、文献や当時の新聞、寄席や劇場の資料はむろん、親族を探し歩いて貴重な証言を得た。

 浮き彫りにしたのは、戦前から野球の物まねという映像向きのアクションで笑いに挑んだ姿。なぜもっと注目されなかったのか。演芸記者として推測するに、当時の新聞やラジオは活字で台本化しやすい芸を重宝したのだろうということ。大阪朝日新聞は昭和7年、エンタツ・アチャコの漫才を紙面化しているが、たとえ爆笑でも動きの面白さを再現するのは難しかったはずだ。

 「早すぎた男の悲哀」。澤田は…

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