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 ラグビー部でクラスター(感染者集団)が発生した天理大(奈良県天理市)で、学生たちが不当な扱いを受け始めた。天理大と市が20日、大学で記者会見を開いて明らかにした。並河健市長は「大学全体を排除し、差別につながる。早急な是正をお願いしたい」と訴えた。

 岡田龍樹・副学長が示した不当な扱いは5件。このうち3件は、学生3人が予定していた教育実習にかかわるものだ。

 「教育実習生の受け入れを中止したい」

 「PCR検査を(実習生に)受けさせてください」

 17日と19日、県内外の中学校2校と高校1校から大学に電話があった。地域の人や保護者が不安になることが予想されることなどを理由に挙げたという。

 残る2件はアルバイト。いずれも学生が「出勤はしばらく見合わせてほしい」とバイト先から言われたという。学生たちはラグビー部員ではない。岡田副学長は「ほかにも詳しく話せない相談がある」と話した。

 永尾教昭(のりあき)学長によると、感染した部員は入院や宿泊療養し、陰性だった部員は個室で経過観察している。「大学全体で感染リスクが広がっている事実はない。多くの方々の不安を解消するため、改めて感染防止対策に力を入れる」と強調した。「不当な扱いは看過できず、さらに広がることを懸念している。このような風評被害が起きたことに驚き、残念に思っている」

 市にも相談が寄せられた。大学関係者の家族が19日に医療機関に行くと、PCR検査を受けたか聞かれ、受けていないと答えたら診察を断られたという。

 並河市長は「だれもが感染者になりうる状況。感染したことは責められるべきではない」と訴えた。その上で「過剰な防御反応になっていないか。大学全体を一つのリスク団体とみて排除し、学生を不当に扱うことは分断を呼び、差別につながると思う」と語った。

 大学は独自にPCR検査を実施し、感染拡大を防ぐ対策をとる。市も大学に協力する。その一例として、天理地区医師会が設けたPCR検査センターで、ラグビー部の寮に出入りした人や近くの店で接触した可能性がある人の検査を始めた。これまで検査を受けた13人は陰性だったという。

 並河市長は「(感染を)懸念される方は、市の対策本部に相談してほしい」と呼びかけた。

 一方、県の20日の発表で、これまで陰性だった20代の部員1人の陽性が新たに確認された。感染者は計54人になった。(石川和彦、福岡龍一郎)