聞き手・津阪直樹、木村和規
未曽有のコロナショックは、世界経済を深い谷に突き落とした。各国とも「危機の時こそ国家の出番」と、巨額の財政出動を続けているが、限界や危うさもある。危機のもとで国家はどんな役割を果たすべきなのか。これまでの日本政府の対応はどうか。国際政治が専門の中西寛・京都大法学研究科教授に聞いた。
――コロナ禍と日本を取り巻く状況をどう見ていますか。
「欧米や中東、南米の厳しいところに比べると、日本は感染者数も死者数も少なく、世界的に見てコロナによる影響は少ない国になっています。ただ、東アジアの韓国、台湾や東南アジア諸国との比較では、すごく良いわけでも悪いわけでもありません。世界の日本専門家の間では、『安倍政権は結果的にはうまくやっている』という見方が強いですが、世論では政府への不満、不信感が非常に強いことが特徴です。世界的には感染者数、死者数が多いところで政府への不満が強い傾向が見られますが、日本は特異な例でしょう。政府に批判的なメディアや政党だけでなく、政権を支持してきた保守層や現状肯定層にも不満が強いように感じます」
――政府の対応が評価されていないということでしょうか。
「私自身も、そんなにうまくやっているとは思えません。安倍政権の看板政策であった、アベノミクスや東京オリンピックを守りたいという思いが首相や官邸に強く、新型ウイルスの影響を過小評価したのではないでしょうか。できるだけ早く立ち直って、経済を元の成長軌道に戻したいという政府と、オリンピック中止論が強くなっている世論。人々の現状に対する不安感が強いなか、これまでの考えや政策を変えず、『アベノマスク』や『Go To キャンペーン』など、目立つ政策がかえってその不安感をあおってしまったように見えます。そのギャップが支持率の低さに表れているのではないでしょうか」
――海外からの評価の方はどうですか。
「世界で評価しているところも…
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