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 ノーベル物理学賞につながった岐阜県飛驒市のニュートリノ観測施設「スーパーカミオカンデ」が性能を大幅に高める改良を終え、観測を始めたと東京大が21日発表した。はるか遠くの宇宙で起きた超新星爆発のニュートリノを史上初めて観測する狙い。水素がほとんどだった初期の宇宙で、私たちを形作る物質がどうつくられたのかといった謎の解明に挑む。

 神岡鉱山の地下にあるスーパーカミオカンデは直径と高さが約40メートル。約5万トンの純水をためることができ、ニュートリノが水と反応した際に出す光を1万個以上のセンサーで捉える。1998年にはニュートリノに質量があることを確認し、東大宇宙線研究所の梶田隆章所長が2015年、ノーベル賞を受けた。

 宇宙線研は約10年かけて純水をためるタンクなどを改良し、純水にレアアースのガドリニウムを0・01%混ぜられるようにした。ガドリニウムは、超新星から来たニュートリノが水と衝突して出す中性子を吸収して別の光を放つ。超新星ニュートリノはこれまで、太陽から来る大量のニュートリノに埋もれていたが、今回の改良で区別できるようになるという。

 超新星ニュートリノは、先代のカミオカンデが87年に初めて観測し、小柴昌俊・東大特別栄誉教授が2002年にノーベル賞を受けた。この超新星爆発は天の川銀河のすぐ近くだったが、宇宙には、過去100億年ほどの間の超新星爆発で生じたニュートリノが飛び交っている。

 今回の改良で年数個が観測できるようになるとされ、超新星でどのように重い元素ができるのかといった「錬金術」の現場を垣間見ることができそうだ。宇宙線研の中畑雅行教授は「7~8年で世界初の観測を目指したい」と話した。(石倉徹也