宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送した無人補給船「こうのとり(HTV)」9号機が任務を完了し、20日に大気圏に突入して燃え尽きたと発表した。HTVは今回で退役し、次回からは有人月探査計画にも参加する新型機が任務を引き継ぐ。計9機で50トンの物資を運び、試料を持ち帰る実験にも成功するなど、すべての任務を成功させた。
9号機は19日、約3カ月間係留されていたISSからゆっくりと離脱した。最後の任務では飲料水や生鮮食品、大型バッテリーを運んだほか、将来の自動ドッキングを見据え、カメラの映像を無線通信でISSに送る実験も成功させた。米ヒューストンから離脱を見守った金井宣茂(のりしげ)飛行士は、離れていくHTVに「ありがとう。さようなら、こうのとり」と語りかけた。20日、南太平洋の上空で大気圏に再突入した。
HTVは2009年に初飛行。米スペースシャトルの退役後はISSへ大型貨物を運べる唯一の船で、米ロの船が失敗しても成功率100%でISSの運用を支えた。JAXAの佐々木宏理事は「開発当初は米航空宇宙局(NASA)からも『ロケットを打ち上げただけで、ランデブーもしていない国が』との(低い)評価だった。安定した輸送で日本の宇宙開発の信頼性を高めてくれた」と語った。
初号機では重要な物資を運ば…
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