【動画】赤ちゃんラボ主任研究者の辻晶さんに、赤ちゃん時代の外国語学習の効果や子どもたちのスマートフォンやテレビとのつきあい方について聞いた=竹花徹朗撮影
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 赤ちゃんはどうやって、あっという間に言葉を学習して、理解できるようになるのだろう。この謎を解こうと、辻晶さん(35)は研究に励む。興味の発端は、自身の「周りと違う」と感じた生い立ちにあった。

 赤ちゃんは驚異的なスピードで言葉を学ぶ。だが、メカニズムは謎だらけだ。東京大の「赤ちゃんラボ」で、主任研究者としてその解明の第一線に立つ。今年、世界経済フォーラムから世界の若手研究者25人に選ばれた。

 生後4カ月から2歳ほどの子に動画を見せて話しかけ、目の動きを追ってデータを取る。約10分の調査だが、ぐずって中断することもある。「どうしたら赤ちゃんが楽しくできるか、頭を使います」

 大学までドイツで育った。ドイツ人の父と大阪出身の母は物理と化学の研究者。実験室が遊び場だった。料理の時、調味料を入れる順番がなぜ「さしすせそ」がいいのか、分子構造から教わった。

 「でも、私の興味は化学や物理よりも人でした」。周りをよく観察する子で、周囲との違いにも敏感だった。年に1度訪れた母の実家がある心斎橋では、人情味あふれる街の様子に心が躍った。

 「私は日本的な名前を持ち日本語も話す。育った環境や文化が人にどう影響するか知りたかった」。大学で心理学を学び、留学先の東大で心理言語学に出あった。各国の研究者と意見を交わし、調査の合間に講演会にも駆け回る。

 「幼少期の言語学習は学力やその後の生活にもつながります。メカニズムを解明できれば、誰もが公平に言語を習得できるはず。平等な社会の実現に貢献したい」(文・植松佳香 写真・竹花徹朗