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 宮崎県内でも新型コロナウイルスが猛威を振るい、感染者数は350人に迫る。県による飲食店への休業・時短営業要請の解除から1週間が経ったいま、感染拡大防止に注意すべきことは何か。県医師会の峰松俊夫理事(58)=ウイルス学=に聞いた。

 ――7月22日から約1カ月で300人を超える感染者が出ています。3~4月の感染の広がり方と違いは何でしょうか。

 春先は県外の人と接触した社会人層が感染しました。家族など周囲の2~3人で感染が止まり、濃厚接触者も追えていました。しかし7月22日以降は感染の連鎖が断てませんでした。クラスター(感染者集団)が発生し、感染者から家族、さらにその友人、知人に広がりました。感染者の年齢層も幅広くなり、高齢者も多く感染し、重症者や死者が出ました。宮崎市などで感染経路不明者が出ているのも気になります。

 ――県は8月1~16日に飲食店に休業・時短営業要請を出しました。全国的に飲食店での感染が見られますが、要因は何でしょうか。

 「3密」を考えたとき、「密閉」は換気、「密集」は席を離すことで店が対策できますが、「密接」は客の意識次第。酒を飲んで食事を楽しんでいれば注意力は低下してしまいます。さらに1分話すと8分は空気中に飛沫(ひまつ)が漂うという実験結果がありますが、食事中はマスクを外しますよね。

 ――県内では高鍋町と延岡市の飲食店、宮崎市の高齢者施設でクラスターが認定されました。行政の対応はどうでしょうか。

 現在はいずれも濃厚接触者の追跡調査やPCR検査である程度の感染の抑え込みができています。ただ裏を返せば、濃厚接触者以外は追い切れていないとも言えます。県民一人ひとりが周囲に感染者がいるかもしれないと認識し、感染対策に努めることが大切です。

 ――猛暑が続く中で感染拡大の観点から懸念することはありますか。

 暑さでマスクを外すのは想定しやすいですが、他にもインフルエンザと同じように「夏は流行しない」ととらえて意識が緩む人がいるのが心配です。これは間違いなので注意してください。

 ――感染者数が急増する中で医療現場に問題はないでしょうか。

 春先に懸念していた医療現場の防護服不足は解消されました。軽症者はホテルや宿泊施設で療養できるようになり、病床不足も軽減されました。心配なのは重症者が増えたときの態勢です。いまは数人の重症者が急増したとき、対応できる医療スタッフが足りません。感染が拡大する県外からの手助けも得られないので、より助けられる患者を優先するトリアージ(選別)が必要になるかもしれません。

 ――行政に対する要望はありますか。

 重症者を増やさないために高齢者の感染拡大を防ぐのが急務です。現状は無症状の人は行政が感染者との接触歴を認めないとPCR検査を受けられません。誰でも気軽に検査を受けられるようにPCR検査態勢を拡充してもらいたい。

 ――いま県民が注意すべきことは何でしょうか。

 無症状者が増え、重症化しやすい高齢者に感染が広がっているからこそ、改めて感染を広げない行動を心掛けてほしい。マスクや手指消毒、誰と会ったかといった行動の記録をお願いします。(聞き手・高橋健人)