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 全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が「ゼロ」だった岩手県で、初めて確認されたのは7月末。県内1例目として発表された男性が勤める会社には直後から、中傷の電話が相次いだ。だが次第に、応援や励ましのメッセージが多く届くようになった。

 社員の感染がわかったのは7月29日の夜。どう発表するか、社内で話し合った。生活インフラのガスを扱う企業として、日頃の感染症対策や社員が感染した際の対応は、2月から準備していた。

 社員のプライバシーを守りながら、地域住民の不安を和らげるにはどうすればいいか――。最終的に、社員の感染と、顧客とは接触がなかったことなどを説明する文書をその日深夜、会社のホームページで公表した。中傷の声があれば、会社が盾になる覚悟だった。

 31日朝に一部のテレビや新聞で会社名が報じられ、バッシングの電話が相次いだ。

 「感染者はクビにしたのか」「社員教育がなってないんじゃないか」

 同じ人から何度もかかってきたり、30分以上話し続けられたりした。どう対応していいかわからず、ひたすら相手の話を聞いた。電話を取るのが怖いと言う社員もいた。

 顧客に安心してもらうため、8月1日に県内の数千世帯へ説明の文書を送った。感染した社員は発症してから顧客との接点が一切ないこと、濃厚接触者の社員も全員陰性であることなどを記した。土曜日だったが、社員の多くが出社して作業にあたった。

 その2日後だった。営業所に匿名でアレンジメントフラワーが届いた。小ぶりな赤い花が咲いていて、添えられたカードに「勤め先に届くのは中傷の言葉ではなく、花だと思いました」と書かれていた。

 社員を気遣い、励ます手書きの…

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