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 国土交通省九州地方整備局(九地整)と熊本県は25日、7月の豪雨で氾濫(はんらん)した球磨(くま)川流域の治水対策を検証する合同委員会を初めて開いた。九地整はこの日、計画が中止された川辺川ダムが完成していた場合、人吉市街を流れた最大水量を約4割削減できたとする試算を示した。

 九地整によると、球磨川が流れる人吉市中心部の観測所の流量として、おおむね氾濫を防げるのは毎秒約5千トン。今回は7500トンの水が流れたと推定した。市街地では最大約5メートル浸水した。

 一方、球磨川上流の川辺川に計画されていた川辺川ダムがあった場合、ダムへの貯水で人吉市で流れた水量を最大37%減の毎秒4700トンに抑えられたと推定した。

 川辺川ダムへの貯水は計画されていた容量の8400万トンを下回る約6300万トンと推定され、緊急放流の必要もなかったとした。

 九地整は氾濫を完全に防げたかは不明としつつ、検証を進め、川辺川ダムで浸水や家屋被害をどの程度軽減できたかも示すという。

 球磨川の最大支流の川辺川のダムは1965年の大水害などを受け、国が建設を計画。住民の反対運動などもあり、2008年に熊本県の蒲島郁夫知事が「白紙撤回」を表明後、民主党政権が中止を明言した。

 会合後、蒲島知事は「川辺川ダムも当然一つの選択の範囲の中に必要だろうという内容だった」と話し、年内にも治水対策を固める考えを示した。(伊藤秀樹、大木理恵子)