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 新型コロナウイルス感染症の感染確認者数の速報が日常になっています。「○日連続で○○人超え」や「○○人を上回るのは○日ぶり」という見出しもよく見ます。私も、今日の感染者数は何人だったのか気になり、ついついニュース番組やウェブサイトを確認しています。ただ、速報値で一喜一憂する必要はありません。

 みなさんとっくにお気づきでしょうが、感染確認者数は曜日によってかなり異なります。よく報道される東京での感染確認者数は月曜日に少なく、木曜日に多い傾向があります。実際のウイルスの感染に曜日は関係ありませんので、曜日ごとの傾向は人間側の要因によります。週末は医療機関が休みで検査数が少なく、その結果が報告される週明けに感染確認者数が少なくなるのです。海外でも同様に曜日の影響があるようで、全世界の新規感染者数のグラフは、2日間連続して少なく、5日間連続して多いというパターンを繰り返しています。

拡大する写真・図版世界の新規感染者数の推移。米ジョンズ・ホプキンス大のデータから

 国によっても差があり、ブラジルは曜日による差が激しく、ロシアでは差がはっきりしません。現地の医療事情に私は詳しくないですが、病院や保健機関でも週末はしっかり休んだり、逆に週末に関係なく働いたりしているお国柄を反映しているのかもしれません。

 曜日の影響を少なくするには1週間分の合計を7で割った数字を出せばいいです。「7日間移動平均」と言います。6日間でも8日間でもないのは1週間が7日間だからです。感染動向を知らせるウェブサイトではたいてい、7日間移動平均も同時にグラフに表示できるようになっています。

 地方によっては複数回のピークがありましたが、全国レベルでは2020年4月のピークが第1波、今回の2020年夏のピークが第2波といっていいと考えます。曜日だけではなく祝日やお盆の影響もありますので断定はできませんが、全国の感染確認者数は、8月上旬をピークとして減少傾向にあります。もちろん油断はできません。感染対策を緩めるとまた感染者数が増えてくるでしょう。

 感染状況の指標は感染確認者数だけではありません。重症化や死亡は、感染から時間が経ってから起きるので、ピークも遅れてやってきます。検査体制が追い付いていないと感染者数を過小評価しますし、そうでなくても検査して、報告され、数の計上するのに時間がかかると実情からずれが生じます。日々の速報値だけではなく、7日間移動平均や、死亡や重症化、検査数における陽性割合、報告日ではなく発症日をベースにした感染者数など、複数の指標から総合的に判断する必要があります。

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酒井健司

酒井健司(さかい・けんじ) 内科医

1971年、福岡県生まれ。1996年九州大学医学部卒。九州大学第一内科入局。福岡市内の一般病院に内科医として勤務。趣味は読書と釣り。医療は奥が深いです。教科書や医学雑誌には、ちょっとした患者さんの疑問や不満などは書いていません。どうか教えてください。みなさんと一緒に考えるのが、このコラムの狙いです。