拡大する写真・図版トウモロコシ畑の脇を走る銚子電鉄の電車。冬から春はキャベツ畑になる=2020年7月、千葉県銚子市笠上町、高木潔撮影

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 倒産しそうになっても踏みとどまるローカル鉄道が、千葉県の最東端にある。銚子市でわずか6・4キロを走る「銚子電鉄」だ。この春には新型コロナウイルスの影響で頼みの観光客を失い、「過去最大の経営危機」を迎えた。運転資金が底をつき、さすがに万事休すかと思われた。が、またも何とか乗り越えた。その力は、どこにあるのか。(高木潔)

手持ちの現金、底つく寸前に

 4480円。銚子電鉄が4月18日に計上した鉄道の売上高である。一日17往復(4月の減便前は24往復)とはいえ、社員1人分の日当にも満たない。「空気を運んでいる」という幹部の言葉は誇張ではなかった。

拡大する写真・図版平日の銚子電鉄車内。バルーンやぬいぐるみの「チーバくん」が邪魔になることは、休日でもまずない=2020年7月、千葉県銚子市、高木潔撮影

 2月ごろからコロナの感染がじわりと広がり出し、春のツアーがすべてキャンセル。乗客の7割が観光客で、通勤・通学などの定期利用者は全体の2割弱、200人に満たない。観光客が来ないと、副業としている「ぬれ煎餅(せんべい)」など駅売りの菓子類の売り上げも減る。手持ちの現金が底をつく寸前になった。

拡大する写真・図版犬吠駅の売店。コロナ禍で乗客が激減し、ぬれ煎餅の売れ行きもぱたりと止まった=2019年8月、千葉県銚子市犬吠埼、高木潔撮影

 1923年に前身の「銚子鉄道」が設立されて以降、経営不安はずっとつきまとってきた。大がかりな設備投資とは長らく無縁で、現在の車両は大手鉄道会社から地方鉄道に払い下げられたものをさらに格安で譲り受けたもの。

 最も新しい車両でも1963年製で、変電設備の更新も先送りが続く。駅売りの切符は今も厚紙製だ。こうした昭和の鉄道風情が魅力で、全国に根強いファンがいる。

 近年は「鉄道なのに自転車操業」などと自虐ネタをいとわない竹本勝紀社長(58)らのなりふり構わぬ経営手法も新たなファンを獲得している。18年には「経営がまずい」に引っかけてネーミングした「まずい棒」が大ヒット。鉄道の赤字穴埋めに貢献をした。

拡大する写真・図版銚子電鉄の竹本勝紀社長

「まずい棒」に注文殺到

 コロナ禍への反転攻勢も、この「カビ色をしたスナック菓子」(竹本社長)だった。駅売りの不振で在庫の賞味期限が迫り、4月、ツイッターで「想定外の出来事で『まずい棒』が在庫の山。ポチッと一袋お願いします(涙)」とつぶやく。するとオンラインショップに注文が殺到し、1袋15本入り1700袋を3日間で売り切った。

 イベントで売っていたサングラスなどの「お先真っ暗セット」もオンラインショップにあげると完売。穴のあいたストール(経営に穴があくの意)や、他のローカル線との共同企画「線路の石の缶詰セット」など、売れるものは何でも売りまくり、4月はネット販売だけで1300万円を売り上げた。

「なきゃないで困らないだろ」って言われたら、反論はしません。とユーモアをまじえて語る社長のインタビューを後半で紹介します。

 一方で日本政策金融公庫とメイ…

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