仏紙「危機時の惨めな指導者」 首相の体調気遣う首脳も
安倍晋三首相が28日、辞任を表明したことを受け、各国メディアは驚きを持って伝え、各国首脳らからは体調を気遣う発言などが相次いだ。
英国のジョンソン首相は自身のツイッターに「安倍首相の下で、英国と日本の貿易、防衛、文化的つながりはますます強力になった」と強調し、「長年の奉仕に感謝し、健康をお祈りしています」とつづった。
英メディアは「驚きの展開」などと速報。BBCは「安定とスキャンダル」と題したコラムで、「安定」と「経済を復活させる強力な刺激策を可能にする中央集権基盤」を政治的遺産として残すと評価した上で、「えこひいき」や「故意の公文書改ざん」を含むスキャンダルにも見舞われたと解説した。新型コロナウイルスの対応の遅さや効果の薄さも批判されたと指摘。また、首相が望んでいた「日本の平和憲法の改正は、少なくともいまはふいになった」とした。
仏紙ルモンドも、新型コロナウイルス対応の初動の遅れや、国会を開かず説明責任を果たさなかったこと、東京五輪を延長せざるを得なかったことなどを指摘し、「危機時の惨めな指導者だった」と酷評した。
その上で、後継候補に触れつつ、性格以外に大きな差は見当たらないとして、「日本は変化よりは継続に向かうだろう」と論じた。
ドイツのメルケル首相は会見で、辞任について「とても残念に思う。お体を大事にしてほしい」と述べた。また「私たちは一緒に良い仕事をし、新型コロナウイルス対策でも協力してきた」とし、「とても良い独日関係を築いてきたと思う」と語った。さらに「歴代首相として、最長の任期を務めるという日本の歴史を築いた」と話した。
独経済紙ハンデルスブラットは安倍首相について「トランプ米大統領と良好な関係を築くことに成功した数少ない同盟国の指導者の一人」とし、「通商攻撃を防げなかったが遅らせることはできた」などと、外交面での特徴を挙げた。一方で、憲法改正について「自ら選んだ『歴史的使命』で失敗した」などと評した。
また、欧州連合(EU)の大統領にあたるシャルル・ミシェル首脳会議常任議長はツイッターで、「安倍首相のリーダーシップのもと、EUと日本は親密で強固なパートナーとなった」と謝意を示し、安倍氏が「日本が(国際社会の)多国間主義を支える柱となるよう努めた」とも指摘した。行政トップのフォンデアライエン欧州委員長もツイッターで「EUと日本の関係強化への献身と貢献に感謝する」と表明。両氏ともに「健康を祈る」とも書き込んだ。
ロシア国営のノーボスチ通信…
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