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 私たちの体を守る「抗体」。最近、ラクダの仲間が持つ一風変わった小さな抗体が注目されている。通常の抗体にはない特徴を持ち、医薬品として実用化する研究が盛んだ。そのパワーの源とは。

拡大する写真・図版グラフィック・田中和

教科書にない実験をやろうとして…

 最近、新型コロナウイルス関連で「抗体検査」という言葉を見聞きすることも多いだろう。これは感染した場合に体が作り出す抗体を検出する検査のことだ。

 通常、抗体は「Y」の字の形をしている。「く」の字形の長い分子(H鎖)の上のほうに短い分子(L鎖)が寄り添う形のセットが二つ集まって「Y」の字になっている。H鎖もL鎖も2本ずつあることになり、H鎖とL鎖が寄り添っているY字の上のほうの先端部分で病原体などを認識する。

 病原体などはどんなものが来るのかわからない。そこでいろいろな可能性を考えて、遺伝子をランダムに組み換えて先端部分の形を変え、どれかが「当たり」になる仕組みだ。

 基礎的な研究は、日本で初めてノーベル医学生理学賞を1987年に受賞した利根川進博士らが進め、最新の研究では、人が持つ抗体は少なくとも3億種類以上あるという。

 1993年、ネイチャーに掲載された1本の論文が研究者らを驚かせた。

 ベルギーのブリュッセル自由大学のチームがヒトコブラクダやラマ、アルパカなどのラクダ科動物が、H鎖とL鎖でできた通常の抗体に加え、H鎖のみでできた抗体(H鎖抗体)を持っているのを発見したのだ。

 教科書に載っていない実験をしようとして、たまたま冷凍庫に残っていたヒトコブラクダの血清を使ったのが発見のきっかけだった。

拡大する写真・図版毛がもこもこのアルパカ=那須アルパカ牧場提供

■進化の過程で…

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