拡大するイラスト・山田英利子
新型コロナ禍で尊敬の対象となった「エッセンシャルワーカー」。だが、その現場は低賃金の「やりがい搾取」も目立つ。彼らの「利他性」を社会はどう生かせばよいのだろうか。
雇う側が「やりがい」を強く意識させることで、働き手が低賃金や長時間労働といった環境に順応してしまう。
私はこの構図を「やりがい搾取」と名づけました。2007年の論考で指摘して認知されるようになりました。しかし、10年以上たった今でも労働現場の搾取の構造が改善する傾向はみられません。
コロナ禍で注目されているエッセンシャルワーカーはその一類型といえます。
医療や介護、保育などの対人サービスは献身的に顧客のニーズに最大限、応えようとして働き過ぎる傾向があります。自分たちの仕事は他の人々の生活や生命を成り立たせるのに貢献している。この「奉仕性」がやりがいとなって低賃金で働くのも仕方がないと思ってしまうのです。
過酷な医療現場では、やりがいを感じる心の余裕さえ失うケースすら出ているといいます。これらの仕事は利他的なのですが、他人に尽くすことが「自分の仕事自体に価値がある」と満足できる理由にさえすり替えられなくなる厳しい労働実態があります。
なぜ仕事量に見合うだけの賃金が支払われず、「やりがい」が搾取される構造が続いているのでしょうか?
世の中に欠かせない仕事でなぜ、長時間労働・低賃金が続くのでしょう。「やりがい搾取」の現状と背景を、東大教授の本田由紀さんや、介護・保育ユニオン共同代表の三浦かおりさん、慶大教授の坂井豊貴さんが語ります。
理由の一つが日本人の意識にあ…
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