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 クマの被害が多発している。お年寄りがけがをするケースが出ているほか、民家への侵入事案が例年より多く発生している。岩手県大船渡市では同じ家に2回、クマが入り、食料や生ゴミを荒らした。2日には釜石市で男性(66)がクマに襲われ、顔などを負傷した。

 「嗅いだことのない、強い獣の臭いがした」

 8月18日、朝8時ごろのことだ。大船渡市三陸町越喜来の前田悟さん(43)が仕事を終え、自宅に帰ってくると、家の縁側に面した窓ガラスが割れていた。猫を4匹飼っているが、その臭いではなかった。

 家に入ると、台所で炊飯器や生ゴミが散乱し、米びつの米が食べられていた。残っていた毛や爪痕からクマによる被害の可能性が高く、市は家の近くにわなを仕掛けた。

 その日の夜10時ごろ、「ガシャン!」と大きな音がした。「わなにかかった音だ」。前田さんが居間でじっとしていると、玄関の引き戸を開ける、激しい音がした。「まずいっ」。慌てて玄関を通らないよう窓から庭に逃げ出し、車の中に駆け込んだ。

 スマホで110番通報した後、警察が到着すると、クマの姿はなく、台所にあった冷蔵庫が開けられ、パイナップルがなくなっていた。わなのふたは閉まっていたが、中のキャットフードやトウモロコシがなくなっていた。「まさか2回も家に入られるとは。冷蔵庫まで開けるなんて、家に侵入することに慣れているみたいで怖い」

 市内では8月だけで12件のクマの出没が確認されている。そのうち5件は民家に侵入し、生ゴミや食物をあさった。4軒の家は猫を飼っており、屋外にあったキャットフードが食べられていた。前田さん宅にクマが侵入した約10日後、市は越喜来でわなにかかったツキノワグマ(体長165センチ、体重120キロ)を射殺した。担当者は「おそらく、この地域を荒らしていたクマだと思われるが、別のクマがいる可能性も高い」と警戒する。

 クマの被害は県内全域で増えている。先月26日には八幡平市の山林で、クマに襲われた可能性が高い男性の遺体が見つかった。県によると、4月から8月下旬までにクマに襲われた人は17人おり、18年度の12人、19年度の16人をすでに超えている。クマによる物的被害も1月から8月末までに22件発生していて、例年より多いペースだという。

 クマの研究をする岩手大農学部の山内貴義准教授は「山間部の人口減少などで里山がなくなり、クマと人間の境が曖昧(あいまい)になっている。わなで捕まえて射殺しても数が多いので追いつかない。地域全体で山との境界を整備をすることも必要だ」と話す。(中山直樹)

■クマの被害に遭わないため…

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