第2回音が出た瞬間、客が総立ち ロックの現場は死んだのか

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近藤康太郎
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ライブハウスよ!②

 あごから血を流し、地引(じびき)雄一が待ち合わせ場所に現れた。わたしは仰天したが、地引は「あぁ、痛(い)てて」。わりに平然としていた。

 1994年のことだ。2人でよく仕事をしていた。そのころわたしは日本のアンダーグラウンド音楽の魅力にとりつかれ、年間300本以上、ライブハウスに通い詰めていた。地引はアンダーグラウンド界で大先輩の写真家。この日は、東京のライブハウス「新宿ロフト」の立ち退き裁判を支援する野外ライブだった。カメラを構える地引に、興奮した客がいきなり殴りかかってきたという。

 「昔は、こういうのよくあったからね」

 60年代、世界を席巻したロックとカウンターカルチャーは、70年代初頭にジミ・ヘンドリックスジム・モリスンらが相次ぎ死去。ロックも商業化したり、高踏的な芸術に変質したりしていった。

 そのころ地引は東京から東北の山村に移って、地方の生活をテーマに作品を撮っていた。

 70年代末、東京に戻る。

 「雑誌の『平凡パンチ』に、ロンドンでパンクロックというものがはやっているらしい、という小さな記事が出た」

 ロック初期の衝動を取り戻し…

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連載近藤康太郎編集委員ルポ「ライブハウスよ!」(全4回)

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