拡大する写真・図版国際線の大半で欠航が続き、人影のほとんどない東京・羽田空港の出発ロビー=8月25日午後3時7分、羽田空港第3ターミナル、江口悟撮影

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 新型コロナウイルスの感染拡大で厳しさが増しているのは、非正規などの不安定な立場で働いている人たちばかりではない。神奈川県に住む女性(26)は、「天職」だと思っていた旅行会社の正社員の仕事を、あっさり失った。

 「事業の先が見えず、仕事を振ることもできない。全員辞めてもらいます」

 3月半ば。急きょ招集がかかったオフィスで、女性は上司から解雇を告げられた。アジア各国からのインバウンド(訪日外国人客)専門の旅行会社の正社員。韓国語と中国語の語学力をいかせて「天職」とまで思えた仕事を失った。

 「その頃には夏までの予約がほとんどキャンセルになって、自分の担当だけでも70~80件が消えていました。もう怪しいなとは思っていたけど、この仕事が大好きだったのでショックでした」

 上司は「手続きは後で電話します」と言ったが、その後連絡はなく、いまだに離職票も届かない。会社が存続しているのかどうかさえわからないが、勤続2年余りで、失業手当をもらったとしてもわずかだ。

 女性は実家に近い地方都市でこの旅行会社の支店に勤めていたが、昨年、転勤の希望がかなって首都圏の担当になった。訪日ツアーに申し込んだ家族連れや新婚カップルの要望を聞いてプランを作り、ホテルや観光施設の予約を代行。レストランのメニューをあらかじめ翻訳しておくなどきめ細かい対応を心がけ、相手に喜ばれている実感があった。小さな会社だったが、訪日客が増え続ける中で業績は好調だった。

拡大する写真・図版国内の主な旅行会社によるインバウンド向け旅行取扱額

 月給は額面で30万円を超え、手取りでも27万円ほど。家賃8万円台のマンションに住み、都会の一人暮らしでも不自由はなかった。「勤務時間も柔軟でお給料も良かった。本当に『楽しいな』と思って働いていました」

 大学時代から海外旅行が好きで、独学で韓国語と中国語を学んだ。大学卒業後は派遣の仕事で資金をため、現地の語学学校に短期留学もした。それだけに、旅行会社に採用されて働き始めると、好きなことができてやりがいのある最高の選択だと思えた。

 ところが、新天地での仕事が軌道に乗る前に、すべてが変わってしまった。

 今年1月、中国での新型コロナウイルスの感染拡大が報じられると、春節の時期の中国人観光客が減った。2月半ばにはキャンセルが相次ぐようになり、3月初旬に上司から「この先、仕事がなくなるかもしれない」と言われた。中国と韓国からの入国制限が大幅に強化されたのはその直後。それから解雇まではあっという間だった。

拡大する写真・図版国際線の大半で欠航が続き、スタッフ以外の姿がほとんど見られない東京・羽田空港の出発ロビー=8月25日午後3時32分、羽田空港第3ターミナル、江口悟撮影

 感染拡大で求職活動もままならなかったが、とにかく家賃や生活費を稼がなければならない。正社員の仕事は望むべくもなく、派遣会社に登録すると、運良くメーカーのコールセンターの仕事を紹介された。

わずか1カ月で2度目の失業

 だが、ほっとしたのもつかの間…

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