拡大する写真・図版西日本鉄道のバス=2020年2月26日、福岡市博多区

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 グループ全体で路線バスだけで約2700台と国内最多のバスを保有する西日本鉄道(福岡市)。バスのほかに鉄道を運行し、商業施設も運営する福岡県民になじみ深い企業だ。その西鉄が台風10号の接近に伴って、7日のバス運行を見合わせると発表したことに、ネット上で驚きの声が上がっている。でも、台風が近づけば交通機関が運休するのは当たり前のような気もするのに、なぜ驚くのか?

 西鉄は4日、鉄道とバスは6日午後9時以降、福岡、佐賀県内の全地区で順次運行を見合わせ、7日も始発から運休すると発表した。「特別警報級」に発達する可能性があるとして、気象庁が警戒を呼びかける台風10号が九州に接近するためだ。

 この運休のニュースが流れると、ツイッターなどのSNSで「あの西鉄が」と驚きの声が次々に上がった。「最高に屈強な西鉄バスが止まるなんて」「あの西鉄バスが運休というニュースを見て初めて避難を考える」――。ツイッターに投稿された驚きの声や西鉄に関する過去のニュースを集めた「まとめサイト」まで立ち上がった。

 そんな驚きの背景にあるのは、これまでの西鉄の運行だ。

 2016年に博多駅前の道路が大規模に陥没し、近くのバスターミナルが停電しても、自家発電で施設の機能を維持して、バスの運行を続けた。同じ年、寒波で雪が降り路面が凍結した路線があったが、全便運休にはしなかった。さらに、大雨でバスの車内が浸水しても走行する動画がSNS上に残る。

拡大する写真・図版陥没事故で停電した博多バスターミナル。バスの運行は続いた=2016年11月8日午前11時57分、福岡市博多区、小宮路勝撮影

 そんな数々の運行ぶりが、西鉄の路線バスは「どんな時でも止まらない」という受け止め方につながったとみられる。

 ただ、西鉄によると、2015年8月に台風15号が九州を縦断した際など、過去にも全便を運休させたことはある。

 西鉄の担当者は「バスは生活を支える一部でめったなことでは運休はしないが、常にお客さまの安全を第一に考えて判断している」と話す。ネット上で「最強バス」とも呼ばれることに、やや困惑気味だ。(渕沢貴子)