【動画】台風10号が接近中の鹿児島県指宿市=加藤諒撮影
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 「過去最大級」とも言われる台風10号は、5日夜から6日にかけて沖縄県の大東地方に最接近した。台風に慣れた島の人たちも、今回の台風は「近年にない強さ」と語った。

 大東地方は沖縄本島から東へ約400キロ。北大東島と南大東島の有人2島や複数の無人島があり、北大東村に約600人、南大東村に約1400人が住む。

 気象庁によると、南大東島では6日午前3時32分に最大瞬間風速50・7メートルを観測した。両村によると、午前8時時点で人的な被害はないが、空港のシャッターが壊れたり民家の窓ガラスが割れたりといった情報がある。

 北大東村の宿泊施設「ハマユウ荘 うふあがり島」の従業員、金城幸子さん(41)によると、5日夜は自宅にいたが、停電でテレビのニュースを見ることができなかった。特に雨風が強まったと感じたのは午前0時半ごろ。「ゴー」という風の音や、物が風で転がるような音が聞こえ、その後少し雨風が弱まったと思ったが、午前3時ごろにまた強まったという。「最近では経験したことのない台風だと感じた」

 6日は午前8時ごろに出勤したが、道路には木が倒れたり、電線が垂れ下がったりし、畑のサトウキビがなぎ倒されていた。ハマユウ荘はガラス窓をベニヤ板で覆うなどの対策をしており、大きな被害はなかったという。住民ら32人が前夜から避難のために宿泊していたが、朝になって風のピークは過ぎ、半数ほどが帰宅した。「大きな台風が来るということで、対策を万全にしていた住民が多かったからこそ、被害が少なかったのでは」と話した。

店の入り口、トラック2台でバリケード

 北大東村で食料品や日用品を扱う「浅沼商店」の浅沼達功(たつのり)さん(68)は6日午前、「けがはなく、ほっとしている」と話した。午前9時半ごろには風が落ち着き始めたが、前夜からの停電が続いている。

 前日、店の入り口にトラック2台をとめて風よけ用のバリケードにし、部屋の窓にはベニヤ板を打ち付けて備えた。それでも夜中は戸や窓がガタガタと大きな音を立てていたという。「真っ暗闇で、風の音がビュンビュンと激しく、まともに眠れなかった。テレビは停電で見られず、外に出ればかろうじて防災無線が聞こえる程度で、情報が乏しく心細かった」

 朝起きると、家の周りに立つガジュマルの大木が根元からなぎ倒され、倉庫のトタン屋根の一部は吹き飛んでいた。停電のため「アイスクリームといった冷凍商品は全部あきらめている」。

 台風が抜けた後、島内を回ってみるという。「命があればどうにかなると思って、こもっていた。これから片付けが大仕事になるが、助かって、ほっとしている」と話した。(島崎周、高木智子