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 日本でも60年前に大流行した感染症のポリオについて、世界保健機関(WHO)が8月末にアフリカでの流行が収束したと宣言しました。アフリカで最後に自然感染のポリオウイルスが検出されたナイジェリアでの感染が収まったためです。

 ポリオとはそもそもどんな感染症なのか。ナイジェリアで収束に時間がかかったのはなぜか。今年3月までWHOのナイジェリア事務所で感染症対策の技術支援をしていた東京都立小児総合医療センターの医師・堀越裕歩さんに聞くと、収束に至るまでには、医療の枠を超えた壁がありました。

拡大する写真・図版ナイジェリアでワクチン接種チームの在庫を管理する堀越裕歩さん(中央、本人提供)

 ――ポリオはどんな感染症なのでしょうか。

 ポリオは、ポリオウイルスが口から体内に入り、腸で増えて感染します。ウイルスは便の中に混じって排泄(はいせつ)され、その便を介して、他の人に感染します。感染しても多くの場合は症状は表れませんが、100人に1人ほどの割合で手足がまひし、それが一生残ってしまうこともあります。大人も感染しますが、乳幼児がかかることが多い感染症です。

 ――なぜ世界で感染が広がったのでしょうか。

 世界では特に20世紀に入ってから広がり、後遺症が残るまひに多くの人が苦しみました。各地で都市化が進んだ一方で、下水が整備されていなかったためです。日本でも1960年代に流行しました。1988年にはワクチンが普及していない途上国を中心に、推計で35万人が発症しました。WHOなどが同じ年に世界からポリオの根絶を目指すことを決めました。

 各国で対策を進めた結果、現在の感染者は88年比で99%減り、収束されていない国はナイジェリア、アフガニスタン、パキスタンの3カ国となっていました。人以外の動物には感染しないことから、ワクチンで人への感染を抑えれば根絶ができる、と当初は考えられていましたが、最後の1%を達成するのは簡単ではありません。

 ――何が収束への取り組みを妨げたのですか。

 一つは紛争です。実はナイジェ…

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