【動画】宮崎・椎葉村で土砂崩れ 台風10号被害=依知川和大撮影
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 「最大級の警戒」が呼びかけられるなか、台風10号が九州に最接近した。各地で暴風が吹き荒れ、土砂崩れによって安否が分からない人もいる。一夜明けた街には木の枝や家屋の破片が飛び散り、強力台風の威力を見せつけた。

強風あおられ転倒などし負傷者多数

 4人が不明となった宮崎県椎葉村の土砂崩れ現場では7日午前、警察や消防団などが重機を使い捜索を始めた。山の斜面が数十メートルの高さから崩れ、事務所や住宅があった場所に大量の土砂や木々が覆いかぶさっていた。

 近くに住む男性(79)は「昨夜は経験のない風雨だった。無事に見つかってほしい」と話した。椎葉村は宮崎市中心部から北に約70キロの山間部。気象庁によると、4日午後9時の降り始めから7日午前11時までの雨量は458ミリにのぼった。

 7日正午現在の朝日新聞のまとめでは、台風10号の強風にあおられて転倒するなど、九州・山口で43人がけがをした。

 鹿児島県志布志市では、避難所入り口の階段で90代女性が転倒して頭を打ち、急性硬膜下血腫の大けが。熊本市では避難先から帰宅しようとした70代女性が屋外駐車場に出た際に転び、顔面を打撲した。佐賀県嬉野市の公民館に避難していた90代女性がトイレに行こうとした際に転び、頭にけがをした。自転車に乗っていた宮崎県串間市の70代男性は風にあおられて転倒し、頭を打ったという。

【動画】台風10号の被害を受けた鹿児島市内=加藤諒撮影

 台風の接近に備えている最中のけがも相次いだ。大分県由布市では40代男性が自宅の車庫を修理中、1メートルほどの高さから転落し、後頭部を骨折する重傷を負った。長崎県佐世保市では60代男性が屋根を修理中に転落し、全身打撲と診断された。庭で作業中に両腕を脱臼したり、自宅を修理中に屋根から落下した瓦がぶつかって打撲を負ったりした人もいた。

 建物への被害も確認された。6日夜に45・9メートルの最大瞬間風速が観測された鹿児島県枕崎市では沿岸の空き家1棟が倒壊した。宮崎県小林市でも堆肥(たいひ)舎1棟が倒れた。福岡市によると、住宅5軒で窓ガラスが割れたり、トタンや瓦が飛んだりしたという。

「自宅どうなっているか心配」 街は人影まばら

 一晩かけて九州を通り過ぎた台風10号。長崎市古川町の中通り商店街では7日朝、強風でめくれあがったトタン屋根が通路をふさぎ、業者が撤去していた。多くの店に休業を伝える紙が貼られ、人影はまばら。現場を見守った消防団分団長の北村貢司さん(60)は「人通りが少なくて、まだよかった」と話した。

 長崎県平戸市の平戸海上ホテルでは7日未明、旧館の階段の窓ガラスが割れた。幅約5メートル、高さ約2メートルに十数枚あったが、すべて枠ごと落ちたという。代表の鈴木哲也さん(51)は「お客様やスタッフが無事でよかった」と話した。

 長崎県の離島、対馬北部で飲食店を経営する女性(44)は6日午後、近くのホテルに身を寄せた。避難する住民でロビーは混雑。断続的な停電もあり、チェックインに2時間ほどかかったという。「鉄筋の建物なのに風で揺れ、怖かった」。女性が店舗にしている古民家は台風9号で屋根が飛び、応急処置もそこそこに避難した。「全壊しているかもしれない」と不安がった。

 宮崎市昭和町の小学6年生の女児(12)の自宅は6日午後10時ごろに停電したという。さらに強風が吹き付ける音だけが聞こえ、なかなか寝付けなかったという。「今まで経験したことがなくて怖かった」

 北九州市小倉北区の北九州メディアドームの避難所では7日朝、自宅へ帰る人の姿が見られた。近所の男性(64)は「避難所ではコロナが心配だったけど、台風の方が怖かった」。マスクをつけ、消毒液を持参したという。「今は自宅がどうなっているのか心配」と話した。

 福岡市のJR博多駅では7日始発から新幹線と在来線が運休。改札口はシャッターが下ろされ、運休を知らせる掲示物が目立った。通勤時間帯も構内を歩く人はほとんどおらず、通勤中の男性は「こんな光景は珍しい」とスマートフォンで撮影していた。

 自治体も夜通し警戒に当たった。佐賀県庁では6日午後から3時間おきに災害対策本部会議を開催。県幹部や佐賀地方気象台の職員、九州電力社員ら約40人が出席し、被害状況などを共有した。