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 インド洋に浮かぶ島国モーリシャスの沖合で日本企業が所有するパナマ船籍の貨物船が座礁して重油が流出した事故は、一帯の自然環境に深刻な影響を及ぼしています。生物多様性の保全が専門の、琉球大理学部の久保田康裕教授によると、「最も起きてはならない場所」での事故だったと言います。その理由を聞きました。

拡大する写真・図版モーリシャス沖で座礁した貨物船。フランス軍撮影=ロイター。黒い重油が海に流れ出ている

 ――モーリシャスやその周辺は、特に自然が豊かだと言われていますね

 「生物学上貴重な地域とされる『生物多様性ホットスポット』は世界にいくつかあるのですが、モーリシャスはその一つにリストされます。海域と陸上を合わせると、脊椎(せきつい)動物、種子植物、海藻、サンゴだけで、2844種もの生物が生息しており、モーリシャスにしかいない固有種もたくさんいるためです」

 「固有種の鳥類では、絶滅してしまいましたが、ドードーが有名で、現在もモモイロバトやモーリシャスホンセイインコなど9種が生息しています。哺乳類ではモーリシャスオオコウモリ、爬虫(はちゅう)類ではボーイェルトカゲなどがいます。独自にこの地で進化したものばかりで、モーリシャスに生息する哺乳類のうち8割、爬虫類は9割弱が固有種です。また、植物では約700種類の種子植物が存在しますが、その3分の1以上が固有種です。絶滅危惧種も多く、かけがえのない島と言えるでしょう」

拡大する写真・図版モーリシャスで8月13日、事故による重油流出地域から保護された固有種のボーイェルトカゲ=ロイター

 「海の生き物は広く移動して分布するため、固有種という定義はあまりできないのですが、近海に生息する魚類だけでも1千種ほどいます。また、サンゴ礁を作る元の生物であるイシサンゴは世界で800種類ほどあるのですが、その40%以上をモーリシャスの海域で見ることができます。地球上のあらゆる海洋生物が1カ所でこれほど見られるのはここだけで、『海洋生物の博物館』とも言えます」

 ――なぜこんなに生物多様性に富むのでしょうか

 「ホットスポットは東南アジア…

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