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 中国海警局の公船が日本領海への侵入を繰り返す沖縄・尖閣諸島沖。専従体制を敷いて対応する海上保安庁に対し、尖閣の領有権を主張する中国側は大型船を次々に投入して圧力を強める。せめぎ合いの遠因となった、中国漁船による海保巡視船への衝突事件から7日で10年が過ぎた。海警局元幹部が朝日新聞の取材に、中国側の狙いを語った。

漁船衝突10年 「国民の問題意識を高めた」

 領海外側の接続水域を航行しながら、ときおり領海に侵入する4隻の中国公船。うち3隻は3千トン級超の大型船で、並走する海保の巡視船が「ここは日本の領海である。領海から退去するように」と警告を続ける――。尖閣周辺では今年4月から8月まで、そんな状況が過去最長の111日間も続いた。

 「国民に尖閣の問題を強く認識させたという意味で、一つの契機だった」

 海保幹部がそう語るのは、2010年9月7日にあった出来事だ。

 違法操業の疑いがあるとして停船を求めた海保の巡視船に中国漁船が衝突。海保は船長を公務執行妨害の疑いで逮捕した。だが、中国政府は強硬に抗議し、那覇地検は「今後の日中関係を考慮した」として船長を釈放し、船長は帰国した。国内では対応への不満が高まり、「sengoku38」を名乗る現職の海上保安官が衝突の映像を動画サイトに流出させる問題も起きた。

 事件をきっかけに、それまでなかった中国公船による周辺海域の航行が急増。一時は月13日にもなった。航行はその後、月1日ほどに収まったが、石原慎太郎・東京都知事(当時)が尖閣購入を検討すると表明したのを受け、民主党政権が12年9月に尖閣を国有化。すると中国は反発し、公船の航行は一気に月20日以上に増えた。「国有化を口実に、実効支配に向けた圧力を強め始めた」。海保関係者の多くはそうみる。

 中国は船の強化も急速に進めた。当初は海保の巡視船より小さい船が多かったが、今では1千トン級以上の大型船は海保の2倍以上。3千トン級以上の船の割合は、12年の13%から18年には74%に増えた。海保の主力が1千トン級なのに対し、中国の主力は3千トン級だ。

日本側も警備の専従体制整えたが

 一方で日本側は手をこまぬいていたわけではない。

 海保も10年間で大型船を3割、職員を1割強増やした。16年度までに尖閣に近い石垣島と那覇に大型の巡視船計12隻を配備し、尖閣警備の専従体制を整えた。

 だが圧力は収まらず、中国公船が領海のすぐ外側の接続水域を航行した日数は昨年、過去最多の計282日に及んだ。今年は領海で漁をしていた日本漁船を追尾する事案も起きた。

 海保幹部は言う。「体制の整備は進んだが、求められている役割が10年前と変わったとは思わない。事態をエスカレートさせることなく、毅然(きぜん)と対応するだけだ」

 専門家はどうみるか。

 海上自衛隊OBで駐中国防衛駐在官を務めた笹川平和財団の小原凡司・上席研究員は「いったん中国の圧力が収まったことから見ても、衝突事件での海保や政府の対応はおおむね適切だった」と評価する。一方で、この時に高まった国民の危機意識が尖閣国有化につながったとみる。

 「海保に求められるのは、現場で中国に付け入られずに毅然と対処するという難しい対応だ。政府は、冷静かつ正確に国民へこの問題を説明し続けることが重要になる。米中対立の枠組みを利用するなどして、中国の圧力を緩和する努力もしていくべきだ」(贄川俊

海警元幹部「中国は365日パトロール行える」

 「中国公船が何日も続けて釣魚…

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