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 昨年7月の放火事件で社員ら36人の命が奪われた京都アニメーション(京都府宇治市)が手がけた作品の原画展が、大阪市阿倍野区の喜久屋書店阿倍野店で開かれている。昨年12月から続けており、ファンらが連日訪れて京アニ再興を願っている。

 「つくりが細かくて絵を描く勉強になる」。大阪市住之江区の中学生、村上悠莉(ゆり)さん(13)は展示された原画に見入っていた。

 物心ついたときから京アニの作品にはまった。一つ一つのシーンがとてもきれいに描かれており、印象に強く残ったという。

 両腕が義手の少女ヴァイオレットが代筆業を営む物語「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(2018年にアニメ放映)が特にお気に入りだ。「京アニのスタッフにはこれからもいい作品をつくっていってほしい」

 ツイッターで開催を知って訪れた枚方市の男子大学生(20)は「大勢が亡くなり、すごく残念。作品を世の中に生み出してくれてありがとうと伝えたい」と話した。事件後、これまで見ていなかった京アニ作品を鑑賞したり、原作の小説を読んだりしたという。「世間のアニメに対する目がまだ冷たいところもある。多くの人がアニメに興味をもってほしい」

 喜久屋書店で展示している原画は20~30点ほどで、月ごとに入れ替えている。

 今月18日からの京アニの新作映画「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の公開を控え、8月からはヴァイオレット・エヴァーガーデンの原画を展示してきた。登場人物が、繊細な筆致で描かれている。

 「つらいと同時に『愛してる』が分からないというニュアンスを込めて!」などの言葉が添えられた原画もあり、スタッフのこだわりが垣間見える。

 同書店によると、原画展はもともと今年1月の予定だった新作映画の公開前に開くことにしていた。しかし、事件の余波や新型コロナウイルスの影響で公開が延期されたため、原画展も異例のロングランで続けてきた。

 榎本年孝(としたか)店長は「作品が多くの方々に心から支持されていることを、日々強く感じている。京アニは突出した高いクオリティーとエンターテインメント性を備えた無二の存在」と話す。一ファンとして「私自身も新しい作品に触れる機会を楽しみに待っている。ゆっくりでも、再び、京アニ作品の世界が広がっていくことを願っている」ともエールを送る。

 原画展は今月末までの予定。入場無料。問い合わせは同書店漫画館(06・6634・8607)。(鈴木智之、浅沼愛)